マイナンバーによる個人情報照会 活用が進まない事務手続きも

国が2000億円以上をかけて整備を進めてきたマイナンバーによる個人情報の照会システムについて、会計検査院が全国の自治体の利用実績を調べたところ、多くの事務手続きで、自治体がこのシステムを活用していなかったことが明らかになりました。会計検査院は、多額の国費を投じたシステムの活用が進むよう、関係省庁などに対応を求めています。

会計検査院は、国が2014年度から総額2100億円以上の経費や、補助金を投じて整備してきたマイナンバーによる個人情報の照会システムについて、全国の自治体の利用実績を調査しました。

令和4年度では、3029万件余りの照会件数のうち、
▽地方税や年金給付に関わる個人情報の照会が合わせて2594万件余りと、全体の85%を占めました。

こうした一部の事務手続きで、システムが積極的に利用される一方、
▽3分の1にあたる485の手続きでは、全自治体でシステムが1度も利用されていないなど、活用が進んでいない手続きもありました。

会計検査院がシステムを活用しない理由を、抽出した451の自治体に尋ねたところ、
▽「システムを利用するより、市民に書類を提出してもらうほうが効率的だから」とか
▽「業務フローの見直しやマニュアルの作成ができていない」
などといった回答が、多く寄せられたということです。

会計検査院は、多額の国費を投じて整備したシステムが効果を生むよう、デジタル庁などの関係省庁に対し、システムの利用状況を把握することや、自治体に助言をすることなど、活用推進に向けた適切な対応を求めています。

デジタル庁「重く受け止める」

会計検査院の指摘について、デジタル庁は「マイナンバー制度全般を推進する立場として重く受け止めている。マイナンバー制度の情報連携の推進は、国民の利便性の向上、行政事務の効率化の観点から非常に重要であり、所管府省庁での情報照会の推進の取り組みを支援していきたい」としています。