水原元通訳 形式的に無罪主張 今月中にも起訴内容認める見通し

大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手の口座から不正に送金を行ったなどとして起訴された元通訳の水原一平被告が14日、ロサンゼルスの裁判所に出廷しました。水原元通訳はこの日は手続き上、形式的に無罪を主張し、今月中にも改めて別の裁判官の前で起訴内容を認める見通しです。

水原一平被告は大谷選手の口座から1700万ドル近く=日本円でおよそ26億円を不正に送金したなどとして、銀行詐欺の罪とうその納税の申告をした罪で起訴されています。

水原元通訳は14日、ロサンゼルスの裁判所に出廷し、起訴内容について無罪を主張しました。

検察や弁護士によりますと、水原元通訳は司法取引を通じて起訴内容を認めることで検察と合意していて、今回、無罪を主張したのは初期の手続きを行う治安判事が担当していることにともなう形式的な手続きだとしています。

そして1、2週間のうちにも次回の期日が設けられ、水原元通訳は重罪に分類される事件を審理する権限を持つ別の裁判官の前で改めて罪状認否に臨み、起訴内容を認める方針だとしています。

検察は水原元通訳の量刑の言い渡しは次回の期日からさらに数か月先になるという見通しを示しています。

水原被告の罪状認否

14日にロサンゼルスで行われた水原被告の罪状認否は5分にも満たない短いものでした。水原元通訳は治安判事のほとんどの問いに「はい」と応じ、起訴内容について問われると「ノット・ギルティー」=「無罪です」と述べました。

やりとりは音声のみが傍聴できましたが、主なやりとりの概要は以下のとおりです。

(治安判事)
あなたは大陪審による起訴の権利を放棄するとした書類に署名していますが、あなたが署名しましたか?

(水原被告)
はい、しました。

(治安判事)
書かれている内容について説明を受け、簡略な起訴になることについて同意しましたか?

(水原被告)
はい。

(治安判事)
大陪審による起訴の権利を放棄するということでよいですか?

(水原被告)
はい。

(水原被告の弁護士)
被告はのちに有罪を認めることで合意していますが、きょうは形式上、無罪の答弁を行います。

(治安判事)
この簡略な起訴の内容を認めますか?

(水原被告)
無罪です。

なぜ無罪主張? 今後の流れは

14日に行われた罪状認否で、水原被告は検察と司法取引で合意したにもかかわらず、起訴された内容について無罪を主張しました。

その理由について、検察や水原元通訳の弁護士などによりますと、14日は初期の手続きのみを行う治安判事が担当していて、原則、重罪に分類される事件の審理や有罪の答弁を受理する権限がないということです。

このため形式的に水原元通訳は無罪の答弁を行ったということです。

そして検察によりますと次回の期日は1、2週間のうちに開かれ、水原元通訳はこの事件の審理を担当する連邦地方裁判所の裁判官の前で、起訴された2つの罪について有罪答弁を行う見通しです。

水原元通訳の有罪答弁が裁判所によって正式に受理されると、審理は省略され、量刑を決める手続きに移ります。

検察は量刑の言い渡しは、その数か月あとになる見通しだとしています。

今回の裁判について、専門家は手続きが異例の早さで進んでいるとしています。

その理由として、水原元通訳には早い段階で弁護士がつき、検察側との司法取引の交渉を進めていたことを挙げています。

水原一平元通訳 問いかけには応じず

水原元通訳は現地時間14日の午前11時ごろ黒のスーツ姿で、弁護士につきそわれてロサンゼルス市内の裁判所に到着しました。

ドジャースを解雇されたあと、多くのメディアのカメラの前に水原元通訳が姿を見せるのは初めてです。

水原元通訳は待ち構えていた多くの報道陣に囲まれましたが、問いかけに答えることはありませんでした。

そして、入り口で手荷物検査を受けたあと、弁護士と言葉を交わしていました。

罪状認否を終え 終始こわばった表情

罪状認否を終えた水原元通訳は午前11時50分ごろ、弁護士とともに裁判所から出てきました。

水原元通訳は終始、こわばった表情で、多くの報道陣に囲まれて身動きが取れず、立ち止まる場面もありましたが、報道陣からの問いかけには一切、応じず、車に乗り込んで裁判所を後にしました。