【随時更新】イスラエル・パレスチナ・中東情勢(5月14日)

イスラエル軍はガザ地区各地への攻撃を続けていて、今後攻撃を拡大させる構えを見せる南部ラファからは、45万人近くが避難したとみられます。
国連機関は「新たなレベルの絶望が広がっている」と、人道状況の深刻さを訴えています。

※中東情勢に関する日本時間5月14日の動きを随時更新してお伝えします。

イスラエル軍 ガザ地区各地でハマスへの攻撃続ける

イスラエル軍はガザ地区の各地でイスラム組織ハマスへの攻撃を続けていて、パレスチナの地元メディアは14日、中部ヌセイラトへの空爆で子どもを含む14人が死亡したと伝えています。

ガザ地区の保健当局は14日、これまでの死者が3万5173人に上ったと発表しています。

ラファからハンユニスなど北側地域に住民の避難続く

ラファでは、イスラエル軍が今後攻撃を拡大するとの不安から、住民がハンユニスなど、ラファよりも北側の地域に避難する動きが続いています。

NHKガザ事務所のカメラマンが12日にラファで撮影した映像では、車やロバの荷車でハンユニスに向かって避難する人たちの車列がうつっています。

また、ハンユニスでは、戦闘の影響で大きく破壊され、がれきだらけになった市街地で、ラファから避難してきた人たちが再びテントを立てて、なんとか生活の拠点を確保しようとしていました。

UNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関は、推計で45万人近くがラファから避難したと発表しているほか、「ハンユニスには水がない。世界が見守る中で、新たなレベルの絶望が広がっている」と、現地の人道状況の深刻さを訴えています。

ガザ地区で国連車両に攻撃 スタッフ1人死亡

ガザ地区ではイスラエル軍による攻撃が続いていて、中部の難民キャンプでは空爆で死傷者が出ているうえ、南部ラファなどでは激しい地上戦が続いています。

こうした中、国連は、13日朝、国連の車両がガザ地区南部のラファの病院に移動する際に攻撃を受け、乗っていた国連のスタッフの1人が死亡し、別のスタッフ1人がけがをしたと明らかにしました。

国連は死亡したスタッフの詳細について明らかにしていませんが、パレスチナ人ではなく、国際スタッフだということで、去年10月に戦闘が始まって以降、ガザ地区で国連の国際スタッフが犠牲になったのは初めてだとしています。

攻撃を受けた車両をうつした映像からは、ボンネットの上や車体の上部、側面に大きく「UN」の文字が書かれ、国連の旗も掲げられていて、国連の車両だということがすぐにわかるようになっているのが確認できます。

また、車両の後部座席の窓には銃弾を撃ち込まれたとみられる穴が数か所開いているのがわかります。

国連事務総長が非難 全面的な調査求める

これまでにガザ地区で死亡した国連のスタッフはおよそ190人に上るということで、国連のグテーレス事務総長は声明を出し、「ガザでの紛争が、民間人だけでなく人道支援スタッフにも大きな犠牲をもたらし続けている」と非難して、全面的な調査を求め、人道目的の即時停戦とすべての人質の解放を改めて呼びかけました。

ガザ地区の地元当局は、イスラエル軍による攻撃だとして非難する一方で、イスラエル軍は、車両が攻撃を受けたのは戦闘地域の中で、詳細については調査中だとしています。

一方、イスラム組織ハマスはイスラエル軍による銃撃だと主張しているということです。

林官房長官「国際法に従った行動求めていく」

林官房長官は、閣議のあとの記者会見で「ガザ地区ではこれまでも多くの民間人が攻撃を受け犠牲になっており、国連職員や援助関係者を含む民間人に被害が発生していることを深く憂慮する。これ以上、一般市民や援助関係者の死傷者が出ないよう、引き続きすべての関係者が国際人道法を含む国際法に従って行動することを求めていく」と述べました。

米大統領補佐官 “イスラエル側と数日中に対面で協議”

アメリカ ホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官は、13日、記者会見で、イスラエルによるガザ地区南部ラファへの大規模な地上作戦について、「間違っている」とした上で、「罪のない民間人の生活の安全をより確かなものにするため、イスラエルにはもっとできることがあるし、やるべきだ」と述べて、改めて民間人の保護が必要だと強調しました。

サリバン補佐官はまた、「ガザ地区にいるハマスの壊滅に向けて最もよい方法を協議する」と述べて、大規模な地上作戦の代替案について、イスラエル側と数日中に対面で協議するという見通しを明らかにしました。

一方で、サリバン補佐官は、ガザ地区への攻撃がパレスチナ人に対するジェノサイド、集団殺害などにあたるとして、南アフリカが国際司法裁判所に訴えたことなどを念頭に、「ガザ地区で行われていることはジェノサイドとはみなしていない」とも述べました。

エジプト外相 米国務長官と電話会談

南部ラファへの攻撃について、ガザ地区と境界を接するエジプトは13日、シュクリ外相がアメリカのブリンケン国務長官と電話会談し、「深刻な安全保障上のリスクで、地域の安定に対する脅威だ」として懸念を伝えるとともに、イスラエル軍が掌握しているラファ検問所から支援物資の搬入を再開させる必要性を強調しました。

また、エジプトは12日には、イスラエルの軍事作戦の停止などを求める南アフリカによる国際司法裁判所への提訴を、公式に支持する考えを明らかにしました。この中で「イスラエルに対して占領者としての義務を順守し、ガザ地区のパレスチナ人に支援物資が届くようにするとともに、いかなる人権違反もしないよう求めた」としています。

エジプトは1979年にアラブ国家として初めてイスラエルと平和条約を結び、今回もハマスとの交渉を仲介していますが、交渉が進展せず、イスラエルがラファへの攻撃を拡大させていることに、いらだちを募らせているとみられます。

イスラエルメディアも、自国の安全保障にとって重要な存在となってきたエジプトのこうした動きを大きく伝えています。

イスラエル 独立記念日を前に 首相「独立戦争は続いている」

14日の独立記念日を前に、エルサレムでは、市民が2分間のサイレンに合わせ、建国以来の戦没者や去年10月のハマスによる大規模な奇襲攻撃などの犠牲者を追悼しました。

市内で開かれた追悼式典で、ネタニヤフ首相は「イスラエルの存続や自由か、それともハマスによる破壊や虐殺か、どちらかだ。われわれの独立戦争はいまも続いている」と演説し、ハマスを壊滅させ、人質全員を取り戻すと改めて強調しました。

一方、一連の式典では聴衆からやじが飛ぶ場面もあり、人質解放の見通しが立たないことなどへの不満が高まっていることもうかがえました。

こうした中、イスラエル軍はガザ地区で前日から120以上の標的を空爆したと発表したほか、南部ラファと北部ジャバリアでは激しい地上戦が続いています。