熊本 阿蘇 遊覧ヘリ不時着 3人大けが 機体後部から異音か

13日昼すぎ、熊本県阿蘇市の山中に遊覧ヘリコプターが不時着し、パイロットと乗客の合わせて3人が大けがをしました。国土交通省によりますと、機体後部から異音がしてエンジンの回転数が低下したということで、警察が詳しい状況や事故の原因を調べています。

13日正午すぎ、阿蘇市黒川の山中で「遊覧ヘリコプターが上空のエンジン停止で不時着した」と、ヘリコプターを運航する会社の関係者から消防に通報がありました。

警察によりますと、この事故で、50代の男性パイロットが胸の骨を折るなどの重傷を負ったほか、乗客の中国籍の30代の男女2人も骨を折る重傷だということです。

ヘリコプターは、阿蘇市の動物園「阿蘇カドリー・ドミニオン」の飛行場を離陸して阿蘇中岳の火口近くを遊覧したあと、飛行場に戻る途中で不時着したということです。

現場近くには高齢者施設がありますが、不時着した場所は施設から50メートルほど離れた山中で、地上で事故に巻き込まれた人はいないということです。

鹿児島空港事務所によりますと、不時着したのは岡山市に本社を置く「匠航空」のヘリコプターだということです。

国土交通省によりますと、機体後部から異音がしてエンジンの回転数が低下したため、不時着を試みたということで、警察が詳しい状況や事故の原因を調べています。

国の運輸安全委 事故調査官3人を現地に派遣へ

国土交通省によりますと、不時着した際、強い衝撃があったということで、乗っていた3人のうちパイロット1人が背骨を、乗客の男女2人が腰の骨やろっ骨を折る大けがをしました。

また、機体には脚の部分や後部に損傷が確認されています。

このヘリコプターは岡山市が本社の「匠航空」が運航し、13日午前11時40分ごろ、阿蘇市黒川の観光施設「阿蘇カドリー・ドミニオン」の場外離着陸場を出発したということです。

その後、同じ離着陸場に戻ろうと飛行していた際、機体後部から異音がして、エンジンの回転数が低下したため、不時着を試みたということです。

国土交通省は航空事故にあたるとしていて、国の運輸安全委員会は14日、事故調査官3人を現地に派遣し、詳しい原因を調べることにしています。

阿蘇の遊覧飛行 事故は今回が初めて

不時着したヘリコプターが出発した「阿蘇カドリー・ドミニオン」にある飛行場で、地上で誘導などを行っている会社「ジェットヘリサービス」によりますと、不時着したヘリコプターにはパイロットと香港から訪れた観光客の男女が乗っていたということです。

この会社によりますと、今回事故があったのは、4つある遊覧コースのうち、阿蘇の活火山の火口を上空から眺めることができる最も人気のあるコースで、およそ7分間の遊覧を終えて、飛行場に戻る際にトラブルが起きたということです。

会社の関係者が現場に駆けつけた際、パイロットは「遊覧を終えて帰ってくる時に後ろから『ドン』という大きな音がして、計器を見ると異常があったため、空き地への不時着を試みた」と話していたということです。

会社によりますと、これまで30年以上、阿蘇の遊覧飛行を行ってきた中で事故は今回が初めてだということで、今後の運航については未定だとしています。

遊覧飛行の内容は

「阿蘇カドリー・ドミニオン」のホームページにはヘリコプターによる遊覧飛行の情報が掲載されています。

それによりますと、遊覧ヘリコプターの運航は午前10時半から午後5時までの間に行われ、コースは4分、7分、10分、15分の4種類が用意されているということです。

ヘリコプターには最大3人が搭乗することができるということで、阿蘇山を中心に阿蘇の観光名所を上空から眺める内容となっています。

現場近くの人は

現場近くの高齢者施設に勤める職員は「遊覧ヘリがいつもより低いところを飛んでいるなという印象があったが、まさか不時着しているとは思わなかった。自分は気付かなかったが、バリバリという音を聞いたという職員もいる。空き地をねらって不時着したのであれば、地上には被害がなかったので冷静な判断だと思う」と話していました。

また、近所に住む60代の女性は「ふだんの散歩コースにヘリが不時着したと聞いて驚いた。家や施設に被害が出なかったのはよかったです」と話していました。