台湾 金門島沿岸水域を中国当局の船が航行 新政権へ圧力強化か

台湾の離島、金門島(きんもんとう)の沿岸の水域を9日、中国当局の船10隻あまりが、航行しました。
周辺水域では中国船の進入の頻度が増しているということで、5月20日に発足する台湾の新政権への圧力強化とみられます。

台湾の沿岸警備を担当する海巡署によりますと、日本時間の9日午後4時ごろ、中国当局の海事部門や漁業部門などの船あわせて7隻が、金門島の沿岸に台湾当局が設定している「制限水域」に入りました。

同じころ中国海警局の4隻も、「禁止水域」や「制限水域」に入りました。

台湾当局はこれらの水域に中国船が許可なく進入するのを禁じていて、巡視艇が退去を求めたものの、中国当局の船はおよそ1時間半にわたって航行したということです。

金門島沿岸では、ことし2月、違法操業をしていた中国漁船が海巡署の取り締まり中に転覆して2人が死亡し、反発した中国当局が「『禁止水域』や『制限水域』は存在しない」として、台湾当局の管轄権を否定する立場を明確に示すようになりました。

海巡署によりますと、5月に入って、中国海警局の船が編隊を組んでこれらの水域を航行したのは4回目、ほかの中国当局の船も加わったのは初めてだということで、20日に発足する頼清徳(らい・せいとく)政権への圧力強化とみられます。