特定外来生物キョン 茨城でも相次ぎ確認 県が目撃情報に報奨金

千葉県で大量に繁殖し、対策が課題となっている、シカ科の特定外来生物「キョン」が、茨城県内でも相次いで確認され、県は対策を強化しようと、目撃情報に報奨金を出す制度を新たに設けることになりました。

中国などに生息するシカ科の「キョン」は、生態系などに害を及ぼすおそれがあるとして、国から特定外来生物に指定されています。

千葉県によりますと、1980年代以前にあった観光施設から逃げ出したものが大量に繁殖したとみられていて、千葉県内での生息数は令和4年度の推計でおよそ7万1500頭にのぼり、農作物を食い荒らす被害などが出ています。

こうした中、隣接する茨城県でも2017年以降、千葉との県境にある神栖市や筑波山などでこれまでに4頭が確認され、警戒感を強めています。

茨城県は、生息域を把握して対策を強化しようと、県内でキョンの写真や動画などを撮影し情報提供した場合には報奨金を出す制度を、早ければ5月中にも始めることを決めました。

県では、キョンの姿を知らない狩猟者や県民に向けて写真を掲載したチラシで情報提供を呼びかけていますが、今後はキョンが定着した場合の影響などを説明したリーフレットも新たに制作するということです。

県環境政策課の飯村勝輝課長補佐は「農作物への被害だけでなく、夜間の鳴き声が非常にうるさいことなども聞いているので、非常に警戒している。県と市町村、住民、狩猟者が一体となって対策を進めていきたい」と話していました。

茨城県で確認されたキョン

茨城県によりますと、県内でキョンが初めて確認されたのは2017年。千葉県と隣接する神栖市の橋の上で、車にひかれて死んでいるのが見つかりました。

その後、確認されたのは2022年で、石岡市の筑波山の山中に設置されたカメラに記録されていました。

さらに、2023年9月には筑西市の堤防で住民が目撃して、12月には下妻市の県道で車にひかれて死んでいるキョンが見つかっています。

県によりますと、これまでに確認されたキョンはあわせて4頭で、いずれもオスでした。

筑波山 カメラに映り込んでいたキョンは

茨城県石岡市では2022年12月、狩猟者の男性がイノシシの状況を調べるため筑波山に設置していたカメラに、オスのキョンが映り込んでいました。

映像では、キョンが地面に顔を近づけながらゆっくりと斜面を登っていく姿が確認できます。

また、別の時間の映像では、画面の中央をキョンが歩いている姿が記録されていました。

茨城県によりますと、いずれのキョンも同じ個体だとみられるということです。

猟友会のメンバーは、千葉県内でキョンによる農作物の被害が報告される中、危機感を募らせています。

カメラを設置していた茨城県猟友会石岡支部の沖田知芳さんは、「筑波山でキョンを見たことはなかったので、ここまで来たかという思いです。千葉県でどんどん増えているので、そうならないように願うしかないです」と話していました。