都の高校授業料実質無償化 近隣3県が格差の解消求め国に要望

東京都が高校の授業料を実質無償化したことにより、近隣県との間で行政サービスに格差が生じているとして、神奈川、埼玉、千葉の知事が格差の解消を求め国に要望しました。

都が高校の授業料について、私立、都立ともに保護者や生徒が都内に住んでいることを条件に今年度から所得制限を撤廃して実質無償化したことについて、近隣の県からは、都内の高校に通う県内の生徒が無償化の対象から外れるため「行政サービスに格差が生じているのは問題だ」などと指摘する声が上がっています。

こうした中、7日は神奈川、埼玉、千葉の3つの県の知事が文部科学省などを訪れ、要望書を提出しました。

要望書では「税収に恵まれている東京都では高校授業料実質無償化などの施策を打ち出し、周辺自治体との地域間格差が拡大している。こうした状況は東京一極集中の流れを加速させる」と指摘しています。

そのうえで、格差が生じないように、国の責任と財源で必要な措置を講じることや、自治体間の税源の偏りを抑える地方税の仕組みを構築することを求めています。

神奈川県 黒岩知事「おかしなところを話しあってもらいたい」

国に要望書を提出したあと、3県の知事が報道陣の取材に応じました。

神奈川県の黒岩知事は「神奈川の私立学校では、クラスの3分の1が東京都から来ている子どもというケースもあり、同じクラスの中で支援のあり方が違うということが起きる。こういったおかしなところを国には話しあってもらいたい」と話していました。

埼玉県 大野知事「手を携えて取り組まなければいけない課題」

埼玉県の大野知事は「面会した文部科学大臣からは『時間がかかるけれども何ができるか検討していきたい』とお話をいただいた。粘り強く3県で手を携えて取り組まなければいけない課題だと改めて強く認識した」と話していました。

千葉県 熊谷知事「早期に改善する方向で動き出してほしい」

千葉県の熊谷知事は「県民が目に見える形で支援の差を感じるというのはかつてなかった状況なので、このいびつさを多くの人に知ってもらい特に政府関係者にはこれを早期に改善する方向で動き出してほしい」と話していました。

東京在住の生徒が対象 隣県から都内高校へは対象外

今回の無償化は、東京在住の生徒が対象となっています。

例えば東京に住む生徒は、都内の私立学校だけでなく、埼玉県や神奈川県など、隣県の私立高校で学ぶ場合も、今回の無償化の対象となります。

一方で、東京の私立高校に、隣県に住む生徒が通う場合は、対象とはならないため、不公平ではないかという意見も出ています。