被差別部落情報サイト運営側に記事の削除命じる決定 大阪地裁

被差別部落の情報をまとめたウェブサイトに、自宅が写り込んだ写真などを投稿されたとして、大阪の70代の男性が削除を求めた仮処分の申し立てについて、大阪地方裁判所は「差別を助長するものだ」などとして、サイトの運営側に削除を命じる決定を出しました。

大阪府に住む70代の男性は、川崎市にある出版社が運営する、被差別部落の情報をまとめたウェブサイトに、自宅が写り込んだ写真や「同和事業で整備された」などと書かれた記事を投稿され「差別されない権利」を侵害されたとして、去年11月、大阪地方裁判所に記事の削除を求める仮処分を申し立てました。

これについて大阪地方裁判所の井上直哉裁判長は、7日までに決定を出し「その地域の居住者というだけで否定的な評価をするという誤った認識が、根強く残っていることなどを鑑みると、投稿された記事は差別を助長するものだ」と指摘しました。

そのうえで「地域の秩序や治安に問題があるように示しており、差別されるおそれがなく平穏な生活を送る利益を侵害するものだ」などとして、男性の申し立てを認め、サイトの運営側に記事の削除を命じました。

申し立てをした男性は、7日記者会見し「裁判所には踏み込んだ判断をしていただいた。私たちには苦しみがあり、サイトに載せているだけでも差別につながることを受け止めてほしい」と話していました。

一方、サイトを運営する出版社はホームページ上で「仮処分の命令は履行しました。記事の削除などを命じられたもので、当該地域を再び訪れることは禁止されていません」などとコメントしています。