米軍とフィリピン軍 南シナ海の海岸で実弾使った迎撃訓練

アメリカ軍とフィリピン軍は、南シナ海に面したフィリピン北部の海岸で海からの侵略を想定して実弾を使った迎撃訓練を行いました。中国が南シナ海で威圧的な行動を強める中、即応能力をアピールするねらいがあるとみられます。

フィリピン各地では先月からアメリカ軍とフィリピン軍の合同軍事演習が行われていて、6日の迎撃訓練は南シナ海に面し台湾にも近い北部の北イロコス州の海岸で行われました。

訓練では海からの侵略を想定し、両軍の部隊が海岸からおよそ1キロの沖合に浮かべた標的を敵船に見立て、対戦車ミサイル「ジャベリン」やりゅう弾砲を使って射撃したほか、敵の上陸を阻止するための機関銃の掃射が行われました。

南シナ海では、先月30日にも中国海警局の船が放水銃を発射し、フィリピンの巡視船が損傷したばかりです。

アメリカ軍の訓練責任者は、中国を想定した訓練ではないとしながらも、アメリカのフィリピンへの防衛義務を定める相互防衛条約に言及し「すべての訓練は相互防衛条約に従って任務を遂行することを目的としている」と述べました。

両軍としては南シナ海で中国が威圧的な行動を強める中、訓練を通じて即応能力をアピールするねらいがあるとみられます。

中国外務省「地域の安定を損なったりしてはならない」

中国外務省の林剣報道官は6日の記者会見で「いかなる軍事演習も、第三者を標的としたり、地域の平和と安定を損なったりしてはならない」などと強調しました。

そのうえで南シナ海の緊張を高めているのが誰なのかは明白だとした上で「唯一の正しい選択は、隣国との友好を堅持し、対話と協議に立ち返ることだ」と述べ、アメリカとフィリピンをけん制しました。