日米豪比 防衛相会談 海洋進出強める中国念頭に連携強化を確認

日本、アメリカ、オーストラリア、フィリピンの4か国の防衛相による会談がハワイで行われ、海洋進出を強める中国を念頭に、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け共同訓練を継続して行っていくなど、連携を強化していくことを確認しました。

会談は、日本時間の3日午前、木原防衛大臣とアメリカのオースティン国防長官、オーストラリアのマールズ国防相、フィリピンのテオドロ国防相が出席して行われ、4人は会談後、共同会見を行いました。

会談では、海洋進出を強める中国を念頭に、東シナ海や南シナ海で深刻な懸念があるとしたうえで、南シナ海での一方的な現状変更や、緊張を高めるいかなる行為にも強く反対することを確認しました。

そして、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、4月に行われた4か国による共同訓練を継続して行っていくなど、連携を強化していくことを確認しました。

また、これに先立ち、日米豪3か国による会談も行われ、F35戦闘機の共同訓練を行うことで一致したほか、日本が保有を進める「反撃能力」について緊密に連携していくことを確認しました。

共同会見で木原大臣は「インド太平洋地域の平和と安定を維持していくため、同盟国・同志国との間で協力や連携を示すことは極めて重要で、今後も4か国の連携を強化していく」と述べました。

共同発表で中国の行動に言及 懸念示す

会談のあと4人の防衛相は共同発表を行い、南シナ海の領有権をめぐりフィリピンと対立する中国の行動に言及し、懸念を示しています。

共同発表では、「2度目となる会談は、自由で開かれ、安全で繁栄したインド太平洋という共通のビジョンを進めるための重要な連携について強調するものだ」としています。

その上で「4大臣は、東シナ海・南シナ海の状況について深刻な懸念を表明した。危険で不安定化をもたらす行為となる、中国によるフィリピン船舶の公海における航行の自由の行使に対する度重なる妨害に対して、深刻な懸念を改めて表明した」としています。

そして「2016年の南シナ海に関する仲裁判断を順守するよう中国に対して求め、南シナ海における権利および自由を、各国が行使することを支援するために協力する決意を示した」としています。

日米防衛相が会談 「拡大抑止」閣僚級でも議論深めることで一致

また、木原防衛大臣は、アメリカのオースティン国防長官とハワイで会談し、アメリカの核戦力などで日本を守る「拡大抑止」をめぐり、これまでの事務レベルでの協議に加え、閣僚級でも協議を行い、議論を深めていくことで一致しました。

会談は日本時間の3日午前行われ、アメリカの核戦力などで日本を守る「拡大抑止」について、これまで行ってきた両政府の事務レベルでの協議に加え、閣僚級でも協議を行い、議論を深めていくことで一致しました。

次に外務・防衛の閣僚協議いわゆる2プラス2を開催する際に、初めて協議を行うということです。

会談ではこのほか、先月の日米首脳会談で合意した、自衛隊とアメリカ軍の指揮・統制の向上や、防衛装備品の共同開発・生産などの協議の場をめぐっても意見を交わし、いずれも議論を進めていくことで一致しました。

会談のあと、木原大臣は記者団に対し「現実に核兵器が存在する中、わが国の安全を確保するためには、自身の防衛力の抜本的強化に加えて、アメリカ軍の核戦力や通常戦力も含めた拡大抑止が不可欠だ」と述べました。