【5月2日詳細】戦闘休止交渉 “ハマス側 24時間以内に回答”

イスラエルとイスラム組織ハマスの間で続く戦闘の休止と人質の解放などに向けた交渉について、エジプトのメディアは、ハマス側が24時間以内に回答を示す見通しだと伝えています。
ただハマス側は、イスラエル軍によるガザ地区南部ラファへの地上作戦があれば交渉は止まるとけん制していて、依然、予断を許さない状況が続いています。

※中東情勢に関する日本時間5月2日の動きを随時更新してお伝えします。

停戦めぐる主張には隔たり 予断許さない状況

イスラエルとハマスの間では、エジプトなどの仲介で戦闘の休止と人質の解放に向けた交渉が続いていて、エジプトのメディアは2日、ハマス側がエジプトが示した案について、24時間以内に回答する見通しだと伝えました。

ただ、イスラエルのネタニヤフ首相は、ガザ地区南部ラファへの地上作戦を強行する構えを崩しておらず、ハマスの幹部は1日、レバノンのメディアのインタビューで、「仮にラファへの地上作戦が行われれば交渉は止まる。戦闘のさなかに交渉は行わない」と述べ、イスラエル側の動きをけん制しました。

ガザ地区で感謝のデモ 米国各地の大学の抗議行動受け

ガザ地区では、2日にかけてもイスラエル軍が各地で空爆を行い、地元のメディアは市民の間に数十人の死傷者が出ていると伝えています。

戦闘が続くなか、ロイター通信は、ガザ地区で1日、アメリカ各地の大学で行われているガザ地区への攻撃に反対する抗議行動に感謝するデモが行われたと伝えました。

参加者は、抗議デモが行われた大学の名前が書かれたプラカードなどを手に広場に集まり、子どもたちの姿も目立ちました。

参加者の女性は、「この困難な時期にガザとともに歩んでくれることに感謝します。あなた方の声は真の変化をもたらしています」と話し、ガザ地区への攻撃に抗議の声をあげるよう呼びかけていました。

欧州各地の大学にも ガザ地区攻撃への抗議行動広がる

イスラエルによるガザ地区への攻撃に抗議する動きは、ヨーロッパの大学にも広がっています。

イギリス北東部にあるニューカッスル大学では、キャンパスにテントが張られ、1日の映像では学生たちがパレスチナの旗を掲げるなどして抗議の声を上げていました。

イギリスの公共放送BBCは、中部のリーズや南西部のブリストルでも1日、大学のキャンパスに学生たちがテントを張り、大学に対してイスラエル企業の株式の売却や財政的な関係の解消を求めていると伝えました。

また、フランスメディアによりますと、パリのソルボンヌ大学では4月29日、およそ100人が停戦を求めるデモに集まり、警察に排除されたほか、マクロン大統領などの出身校として知られるパリ政治学院では4月26日、学生らが建物を一時占拠したということです。

ネタニヤフ首相 ハマスの要求と相反する立場 改めて示す

イスラエルとハマスの間では、エジプトなどの仲介で戦闘の休止と人質の解放に向けた交渉が続いていて、交渉を後押しするアメリカのブリンケン国務長官が1日、ネタニヤフ首相と会談しました。

アメリカ国務省によりますと、このなかでブリンケン長官は、人質の解放のための交渉についても協議し、停戦の妨げになっているのはハマスだと強調したということです。

地元メディアの「タイムズ・オブ・イスラエル」は1日、イスラエル当局者の話としてネタニヤフ首相がブリンケン長官に、「戦闘の終結を含む合意は受け入れられない」と述べたと報じています。

そのうえで、「人質解放のための合意は、ラファへの地上作戦を避けることを意味しない」とも伝えたということです。

今回の交渉でイスラエルは、人質が解放されれば、戦闘の終結について協議する用意があると、ハマスに初めて提案したと報じられていました。

ネタニヤフ首相の発言は、人質全員の解放には完全な停戦が必要だとするハマスの要求と相反する立場を改めて示した形で、今後の交渉は予断を許さない状況となっています。

米 ブリンケン国務長官 “ラファへの大規模作戦 支持せず”

イスラエルを訪問したアメリカのブリンケン国務長官は1日、ネタニヤフ首相と、イスラエルとイスラム組織ハマスとの間で続く戦闘の休止と人質の解放に向けた交渉などについて協議したほか、ガザ地区への人道支援を届けるトラックが通行するケレム・シャローム検問所などを視察しました。

一連の日程を終え、ブリンケン長官は記者団の質問に応じ、交渉について、「合意に至り、停戦と人質の解放が実現すれば、さらに長期に持続できる対応を模索することでイスラエル側と一致している」と述べ、今回、双方が合意すれば、恒久的な停戦につながる可能性も示唆しました。

そのうえで、ハマスに提案に応じるよう改めて迫りました。

また、ネタニヤフ首相が、ガザ地区南部ラファへの地上作戦を強行する構えをみせていることについて、ブリンケン長官は「民間人に被害が及ばない効果的な計画がないかぎり、大規模な作戦を支持することはない」と強調した上で、イスラエル側から計画は示されていないことを明らかにしました。

そして「大規模な作戦を伴わずハマスに対処する方法がある」と述べ、イスラエル側との協議を続ける考えを示しました。

米国防総省 ラファ地上作戦行う場合 “住民避難の計画必要”

アメリカ国防総省は1日、オースティン国防長官とイスラエルのガラント国防相が電話で会談したと発表しました。

オースティン長官は、イスラエル軍がガザ地区南部のラファで地上作戦を行う場合、「住民を避難させ、人道支援物資の搬入を維持するための信頼できる計画を盛り込む必要がある」と強調したとしています。

米報道官 “ハマスの返答まだない 停戦即座に行うべき”

ホワイトハウスのジャンピエール報道官は1日、記者会見で、イスラエルとイスラム組織ハマスの間で続く戦闘の休止と人質の解放に向けた交渉について、「人質解放の取り引きの一環としての停戦を即座に行うべきだ」と述べ、ハマスに対し、交渉で示されている提案に応じるよう求めました。

ただ、ハマス側からの返答はまだないとしたうえで、「ハマスが提案を直ちに受け入れるよう、あらゆる努力を尽くす必要があり、地域のパートナー国にも伝えている」と述べて関係国と協力して合意の実現に向けて全力をあげる考えを示しました。

イスラエル抗議デモ 参加者約300人逮捕 米コロンビア大学など

アメリカ東部ニューヨーク州のコロンビア大学では30日、キャンパス内にテントを張って抗議デモを続けていた参加者の一部が建物の1つを占拠したため、大学側の要請を受けて警察が強制排除に踏み切りました。

ニューヨーク市警によりますと、これまでに不法侵入や器物損壊などの疑いでコロンビア大学では119人、同じマンハッタンにあるニューヨーク市立大学でも173人を逮捕し、キャンパス内に警察官を配置して警戒を続けています。

有力紙ニューヨーク・タイムズのまとめによりますと、4月18日以降、抗議デモで逮捕者が出た大学は、22の州で合わせて34校にのぼります。

一方、UCLA=カリフォルニア大学ロサンゼルス校では30日、パレスチナを支持する人たちのテントをイスラエルを支持する人たちが撤去しようとして口論になり、棒で殴り合うなど激しく衝突しました。

警察が出動し、混乱はいったん収まりましたが、対立が深まる懸念も出ています。

UCLAは1日、すべての講義を休講にし、警察がキャンパス内で引き続き警戒にあたっていますが、学生たちは残って抗議デモを続けていて、象徴的だったコロンビア大学のデモが強制排除されたあとも、各地で混乱が収まる見通しは立っていません。