ソロモン諸島 “親中派”首相 続投せず 今後の対中政策に関心

南太平洋の島国、ソロモン諸島で中国との関係を深めてきた首相が今月行われた総選挙をうけて実施される次の首相を選出する投票に立候補しないことを明らかにしました。総選挙では、中国を重視してきた与党が議席を減らす中、誰が首相に選ばれるのか、今後の対中政策の行方を占ううえで関心が集まっています。

南太平洋のソロモン諸島は、台湾と外交関係を維持してきましたが、2019年に現在のソガバレ首相が断交し、中国と国交を樹立しました。

さらに、おととしには中国と安全保障協定を結ぶなど、関係を深めてきました。

ソロモン諸島では、今月17日に総選挙が行われ、中国との関係が争点の1つとなりましたが、ソガバレ首相が率いる与党は50議席のうち、獲得した議席が15と、選挙前を大きく割り込みました。

総選挙をうけて、議会では、来月2日に、次の首相を選出する投票が行われる予定ですが、ソガバレ首相は29日の会見で「政治情勢が絶えず変化している今、意欲のあるリーダーに国民を導く機会を与えることが必要だと認識している」と述べ、みずからは立候補せず、外務・貿易相を務めるマネレ氏を擁立することを明らかにしました。

マネレ氏は去年11月、NHKのインタビューに対し「米中などの大国が安全保障面で関心を持っていることを理解している。しかし、私たちは小国で、主要な関心は開発だ」と述べ、経済面などで支援してくれる中国は重要だという認識を示しています。

首相の選出を前に、与党側は、過半数をかためたとしていますが、野党側も候補を擁立する見込みで、誰が首相に選ばれるのか、今後の対中政策の行方を占ううえで関心が集まっています。

ソロモン諸島では、首都ホニアラを中心に中国の支援で、道路やスタジアムなどの整備が進んでいるものの、景気が改善していないことや、医療などの福祉が十分ではないことに、住民の不満が高まっています。