インドネシアで大規模噴火 「日本への津波の影響なし」気象庁

30日朝早く、インドネシアの火山で起きた規模の大きな噴火について、気象庁は噴火による津波の有無を調べていましたが、午前11時半に「日本への津波の影響はない」と発表しました。

気象庁によりますと、日本時間の30日午前4時ごろ、インドネシアのルアング火山で大規模な噴火が発生し、噴煙が上空およそ1万9000メートルまで上がりました。

大規模な噴火が起きると、気圧波による津波が発生することがあり、気象庁は津波の有無について調べていましたが、日本や海外の観測点で目立った潮位の変化は観測されませんでした。このため、気象庁は午前11時半に「日本への津波の影響はない」と発表しました。

気象庁は、おととしに南太平洋・トンガの海底火山で起きた大規模な噴火で日本でも潮位の変化が確認されたことを踏まえ、海外で同じような規模の噴火が発生した場合、潮位の変化に関する情報を発信することにしています。

ルアング火山では4月17日にも大規模な噴火が発生し、気象庁は一時、津波の発生の有無や日本への影響を調べるとする情報を発表していました。

ルアング火山のある島の対岸の住民「噴石降っている」

ルアング火山のある島の対岸のタグランダン島で宿泊施設を経営する38歳の女性は、NHKの取材に対し「ルアング火山が噴火し、噴石が降ってきている。これから避難する」と話していました。

また、タグランダン島で家族と暮らす55歳の男性は、NHKの電話取材に対し「噴火当時は地元の教会にいて、大きなボンという噴火の音が聞こえた。その後も3時間ほど音が聞こえ続け本当に怖く、泣きだす人もいた」と話していました。現在の状況については「教会を離れ、別の場所に避難したが、いまも噴石が飛んできている。地震も頻繁に発生し、揺れを感じている。人生で経験したことのない大惨事だ。一刻も早く状況が落ち着いてほしい」と話していました。

2022年トンガの海底火山噴火踏まえ情報発信 気象庁

おととし1月の南太平洋・トンガの海底火山で起きた大規模な噴火で日本でも潮位の変化が確認されたことを踏まえ、気象庁は海外で同じような規模の噴火が発生した場合、潮位の変化に関する情報を発信します。

具体的には海外で噴煙の高さが上空1万5000メートルに達する大規模な噴火が起きた場合、
▽地震に伴うものとは異なる「津波」が発生するおそれがあることや
▽海外で観測された潮位の変化を伝えるほか、
▽国内では潮位が基準に達した時点ですみやかに警報や注意報を発表するとしています。

インドネシア当局 ルアング火山 警戒呼びかけ

インドネシアの北スラウェシ州にあるルアング火山について、インドネシア当局は、今月17日に大規模な噴火が確認されたあと、継続的に警戒を呼びかけています。

当局によりますと、日本時間の30日午前3時35分ごろ噴火が確認されたということで、火口から半径6キロ以内には立ち入らないよう呼びかけるとともに、その範囲内にいる住民はただちに避難するよう呼びかけています。

またルアング火山がある島の対岸の島に対しては、津波の可能性にも注意するよう呼びかけています。

今月17日の噴火の際には、ルアング火山がある島の住民およそ800人が別の島などに避難していました。

「ルアング火山」とは

世界の火山について調査をしているアメリカのスミソニアン自然史博物館のホームページによりますと、「ルアング火山」はインドネシアのサンギヘ諸島にある標高725メートルの火山です。

2002年には噴煙が2万メートルに達する大規模な噴火が発生し、火砕流が発生したほか火山灰による被害も出ました。

4月17日にも規模の大きな噴火が発生して、噴煙が1万9000メートルに達し、火山灰により火山から南西へおよそ100キロ離れた国際空港が一時、閉鎖されるなど影響が出ました。