「パンデミック条約」交渉大詰め 途上国と先進国の対立根強く

新型コロナウイルスの感染拡大の教訓をふまえ、感染症対策の強化に向けて各国が採択を目指す「パンデミック条約」の大詰めとなる交渉が、WHO=世界保健機関で始まりました。
ただ、医薬品の特許や資金支援などをめぐって途上国と先進国の対立は根強く、合意できるかは予断を許さない状況です。

「パンデミック条約」は、国際的な感染症対策を強化し、新たなウイルスの流行を予防しようと、各国が2年かけて交渉を進め、5月、開かれるWHO総会での採択を目指しています。

この条約の策定に向けた、各国間の最後の会合が29日、スイスのジュネーブにあるWHOの本部で始まりました。

会合は非公開で行われていて、先立って公開された条約の草案では、
▼締約国は感染症対策のための包括的な計画を策定し定期的に見直すことや▼途上国の対策を支援するため資金を拠出することなどが盛り込まれています。

さらにワクチンや治療薬を途上国でも生産できるよう、技術の移転を促し、パンデミックの際には、医薬品の製造業者などに対し、特許を緩和したり、妥当な特許使用料を設けたりすることを奨励することも盛り込まれています。

会合は、来月10日まで続きますが、交渉関係者によりますと、医薬品の特許の放棄などを主張する途上国と、製薬会社への影響を懸念する先進国の対立は根強いということで、期間内に合意できるかは予断を許さない状況です。

インドネシアの代表は、「新型コロナで、途上国はワクチンや医薬品を手に入れることがいかに難しいかを学んだ。すべての国が受け入れられる条約を目指したい」と話していました。