立民3補選勝利 泉氏“解散・総選挙を”自民全敗“信頼回復を”

衆議院の3つの補欠選挙は、いずれも立憲民主党が勝利し、自民党は候補者擁立を見送った選挙を含め全敗しました。
立憲民主党の泉代表は、自民党に対し、政治改革案の実現を迫るとともに、衆議院の解散・総選挙を求めていく考えを示しました。
一方、自民党は、信頼回復を図り、次の衆議院選挙に向けて態勢の立て直しを進める方針です。

一夜明けて当選した候補者たちは

28日に投票が行われた選挙から一夜明けて、当選した候補者たちは早速動き出しています。

島根1区 大差で自民に勝利の亀井亜紀子氏は

今回唯一の与野党対決の構図となった島根1区で、自民党の新人に2万4000票余りの大差をつけて勝利した亀井亜紀子氏はJR松江駅近くで活動をスタートさせました。

亀井氏は行き交う車に笑顔で手を振って「多くの人に支えられて選挙戦を戦うことができた。即戦力として活動し、島根から政治の新しい流れを作っていきたい」と意欲を示していました。

このあと記者団に、「みんなで力を合わせれば、島根でさえこうした結果を得られることを証明できた。そういう意味で大きな勝利だった」と選挙戦を振り返りました。

その上で「選挙で訴えた人口減少や公共交通の問題などのテーマについて質問する機会があったらうれしい。また、自民党におきゅうを据えようと応援してくれた自民党支持者の信頼を今回だけでなく今後も得られるように努力していきたい」と抱負を述べました。

長崎3区 山田勝彦氏は

長崎3区で日本維新の会の候補を破った山田勝彦氏は大村市の事務所で自身の当選を伝える新聞に目を通していました。

そして「政治不信を回復するためにも、国会に戻って、政治改革を進めないといけないという強い自覚と責任を感じている」と話していました。

《開票結果》

28日に投票が行われた衆議院の東京15区、島根1区、長崎3区の3つの補欠選挙は、いずれも立憲民主党が勝利し、自民党は、候補者擁立を見送った選挙を含め全敗しました。

こちらが、その結果です。

立民・泉代表「解散・総選挙を求めていく」

立憲民主党の泉代表は29日、大阪市で労働組合の中央組織、連合の関係者との会合に出席してあいさつしました。

この中で、衆議院の3つの補欠選挙でいずれも勝利したことについて「自民党に対する有権者の強い怒りを感じる。選挙期間中に突如出された自民党の政治改革案が、全く空虚で中身のないものだと瞬時に有権者が見切ったのだろう」と指摘しました。

その上で「私たちの改革案は、与党や一部の野党から『高めのボール』と言われるが、国民から見れば『ど真ん中ストライク』だ。自民党議員の腹が痛くなるような改革でなければ意味がなく、実現を今の国会で目指す」と述べ、自民党に対し、政治資金パーティーの全面禁止など、党が掲げる政治改革案の実現を迫る考えを示しました。

また「補欠選挙の結果を受けても自民党の姿勢が変わらないのであれば、さらに攻勢を強める。衆議院の解散・総選挙も含め、今の政権は信任に値しないと明確にしていく」と述べました。

自民・茂木幹事長「大変厳しい選挙結果 信頼回復に努める」

一方、自民党の茂木幹事長は28日夜、「大変厳しい選挙結果だったと受け止めている。不断の改革努力を重ね、課題を解決することで、時間はかかると思うが国民の信頼を回復できるよう努めていきたい」と述べました。

党内では「政治とカネの問題に対する国民の強い不信感のあらわれだ」という受け止めとともに、危機感が広がっています。

自民党は、政治資金規正法の改正などを通じて、信頼回復を図り、次の衆議院選挙に向けて態勢の立て直しを進める方針です。

《記者解説》「自民党関係者 一様に衝撃」

地元やそれぞれの政党は、結果はどう受け止めているのか?

島根1区の現地・松江局と、政治部記者の解説です。

Q.島根1区は自民党が敗れることに。地元の受け止めは?

A.(松江局記者)
自民党の関係者は、一様に衝撃を受けています。
選挙戦が始まる前は「保守王国の島根だから、きっちりやれば最後はひっくり返せる」と自信を示す関係者も少なくなかったんです。

しかし、前回3年前の衆議院選挙では、細田さんと亀井さんの差がおよそ2万3800票だったんですが、今回は、それ以上の差を亀井さんにつけられた形です。
自民党のある地元議員は「時代の流れが変わったと感じる。保守王国の島根でこのような結果になったということは、こうした流れが全国に広がる可能性もある」と危機感を示していました。

一方の亀井さんの陣営の関係者は「自民党の岩盤支持層は簡単には崩れないだろう。これからが勝負になる」と気を引き締めていました。

Q.政党の結果の受け止めは?

A.(政治部記者)
松江からの話にもありましたが、自民党内では「保守王国」島根での敗北に危機感が広がっています。
党内からは「政治とカネの問題による逆風で劣勢とは言われていたが、想像以上の厳しい結果だ」という声が出ています。

また、公明党内からは「もはや政治資金規正法の抜本的な改正を成し遂げる以外に道はない」という指摘も出ています。

政府・与党としては、いまの国会で野党の協力も得て法改正を実現し、信頼回復につなげたい考えです。

一方の立憲民主党ですが、いわば野党統一候補としての今回の勝利に手応えを感じています。
立憲民主党は次の衆議院選挙に向けて、ほかの野党に粘り強く連携を働きかけるとともに岸田総理のもとでの解散を迫る方針です。

Q.政権運営への影響は?

A.(政治部記者)
補欠選挙は、現時点での岸田政権に対する評価とも言えますので、政権にとってダメージになることは避けられないと思います。
実際、自民党の中堅・若手からは「政治資金問題でリーダーシップを発揮できていない責任は大きい」と岸田総理に矛先を向ける声も聞かれます。

一方で、政権幹部を中心に「党全体の問題で、岸田総理の責任には直結しない」という意見も出ていまして、ただちに政局になる可能性は高くないと思います。

また、いまの国会での衆議院の解散は難しくなったという見方も広がっていまして、岸田総理は党内情勢を見極めながら秋の総裁選挙への対応と解散戦略を検討していくことになります。