サッカーU-23日本代表 パリ五輪最終予選 準決勝に向け前日練習

サッカー男子、パリオリンピックアジア最終予選の準決勝でイラクと対戦する23歳以下の日本代表は28日、前日練習を行い、中盤を支える松木玖生選手は、「タフな試合になるだろうが、勝ちきってパリの切符をとれるように結果にこだわってやっていきたい」と意気込みを話しました。

カタールで行われているアジア最終予選で日本は、パリオリンピックの出場権をかけて日本時間30日午前2時半からの準決勝でイラクと対戦します。

試合を前に28日、日本の23人の選手たちは練習拠点で前日練習を行い、ランニングやストレッチのあと、ゴール前で細かいパスをつなぎながらシュート練習を行って連係を確かめていました。

大岩剛監督は、「イラクはしっかりと守ってカウンターという形を取ってくると思う。セットプレーが強く、個人のスキルも高い。注意すべき点は数多くある。われわれも試合のたびに自信をつけているので、それをイラクにぶつけて勝ちにつなげていきたい」と話しました。

また、ミッドフィルダーの松木選手は、「日本にいいニュースを届けるために最善を尽くす。タフな試合になるだろうが、勝ちきってパリの切符をとれるように結果にこだわってやっていきたい」と意気込みを話しました。

一方、イラクも日本戦に向けて前日練習を行い、公開された冒頭の15分では選手たちがリラックスした様子でボール回しなどをして感覚を確かめていました。

イラクのアフメド・マクナジ選手は、「日本は尊敬すべきチームだが、われわれは研究している。練習の中で対策をしたい。日本との試合を決勝戦だと思って戦いたい」と話しました。

日本は、準決勝に勝てば今大会の3位以上が確定して8大会連続のオリンピック出場が決まります。

敗れた場合は3位決定戦で出場権を争い、4位は5月9日に行われるアフリカ、ギニアとのプレーオフにまわります。

山本理仁「泥臭くオリンピックの切符をもぎ取る」

ミッドフィルダーの山本理仁選手は、前日練習のあと取材に応じ、「正直に言うと負ければ終わりという前の試合よりは重圧は少ないが、まだ何も勝ち得ていない。ここで勝たないといけないし、1発で勝ちきってオリンピックの切符をつかみたい。試合が重なるにつれて、コミュニケーションやチームの輪が大きくなってきているので、自信を持って準決勝に臨みたい」と話しました。

また、イラクの印象について「前線の選手のスピードやカウンター、ヘディングの強さは注意しなければいけない。練習試合で対戦したが大会になると目つきも違って、違うチームになると思うので油断せずにいい試合の入りをしたい」と話しました。

イラクは日本にとって31年前、ワールドカップ初出場をあと1歩のところで逃した「ドーハの悲劇」の対戦相手だと尋ねられると、「僕らは生で見ていないので悪いイメージは持っていない。ただA代表がことしのアジアカップで敗れていて必ず借りを返したい。カタール戦と同様に厳しい戦いになると思うが、きれいなサッカーだけではなく泥臭くオリンピックの切符をもぎ取る気持ちでやっていきたい」とことばに力を込めました。

木村誠二「一体感が強くなっている」

今大会2得点を挙げているディフェンダーの木村誠二選手は、「ディフェンダーなのでセットプレーからしか点は取れないと思うが、チームに貢献できているのがうれしい。次の試合も苦しい状況になったときに1発とってチームの調子を引き上げたい。ただ、どちらかと言えば守備で失点を無くしたいという思いが強い。ゴールも狙うが、自分たちのゴールを守ることをしっかり頭に置いていきたい」と話しました。

また、「これまでの活動でチーム一丸となった戦いが強調されてきた。今大会でも一体感が強くなっている」と、大会が進むにつれてチームとしての連帯感が強まっていることを明かしました。

そのうえで「8大会連続のオリンピック出場がかかる大事な試合だし、僕らもパリオリンピックに出たい。全員がいいモチベーションで迎えていると思う。間違いなくいい戦いができるメンバーがそろっているので全員で全力を出して戦いたい」と話していました。

イラク 高い身体能力を生かした攻撃的なサッカーが持ち味

イラクは、2016年のリオデジャネイロ大会以来、2大会ぶり6回目のオリンピック出場を目指しています。

2004年のアテネオリンピックの4位が過去最高です。

高い身体能力を生かした攻撃的なサッカーが持ち味で、ミッドフィルダーのアリ・ジャシム選手は、年齢制限のない代表のことしのアジアカップで日本を破った1次リーグの試合に先発出場しました。

今回のアジア最終予選では、準々決勝のベトナム戦でペナルティーキックを決めるなどここまで3得点を挙げ、攻撃の中核を担っています。

また、ディフェンダーのザイド・タシーン選手も年齢制限のない代表でことしのアジアカップを経験している守りの要です。

キャプテンでミッドフィルダーのムンタヘル・モハンメド選手は、イエローカードの累積で日本との準決勝は出場できません。

イラクのラディ・シェナイシル監督は、「ドーハの悲劇」と呼ばれる日本がワールドカップ初出場をあと1歩のところで逃した1993年のアジア最終予選の最終戦でイラク代表の選手としてフル出場しています。

28日の記者会見でシェナイシル監督は、「パリオリンピックに出場することはイラク国民の願いを実現することだ。日本は優勝候補だが、必要な選手と戦術を使って勝ちたい」と話しました。

日本は今大会の前に非公開でイラクと練習試合を行っていて、関係者などによりますとこの試合は日本が1対0で勝利しています。

それでも大岩剛監督は、「フィジカル的にも戦術的にもイラクは非常に高いレベルにあり、チームとして組織されている。練習試合は参考にせず、準決勝にフォーカスしていい準備をしたい。がむしゃらに、ぶざまでもいい。しっかりと勝ちきりたい」と決意を込めて話しました。