米国防総省 ガザ地区に仮設ふ頭建設開始 海から支援物資搬入へ

イスラエルとイスラム組織ハマスによる戦闘の影響でガザ地区で深刻な人道状況が続く中、アメリカ国防総省は、ガザ地区に海から食料などの支援物資の搬入に使う仮設のふ頭の建設を始めたことを明らかにしました。バイデン政権としては、人道状況の改善に取り組む姿勢をアピールするねらいがあるとみられます。

人口およそ220万とされるガザ地区は、イスラエルとハマスによる戦闘の影響で、深刻な人道状況が続いています。

アメリカ政府高官は、25日、このうち北部について「人口の半数以上がひどい食料不足に陥っている。子どもの30%近くは深刻な栄養失調の兆候が見られる」と説明しています。

アメリカ国防総省のライダー報道官は、25日の記者会見で「アメリカ軍の艦艇が、仮設のふ頭の建設を始めた」と述べ、ガザ地区への食料などの支援物資の搬入を増やすため、海からの搬入に使う仮設のふ頭の建設を始めたと明らかにしました。

また、アメリカ軍の幹部は記者団に対し「われわれは、5月はじめに、海からガザ地区への物資の輸送を始める予定だ」と述べ、5月からふ頭の運用を始め、段階的に支援物資の搬入量を増やすとしています。

アメリカ軍は、これまで、ふ頭の運用が完全に始まれば、一日に200万食以上の食料をガザ地区に提供できるようになると説明しています。

アメリカでは、イスラエル軍によるガザ地区への攻撃をめぐって各地で学生の抗議デモが続く中、イスラエルを支援するバイデン政権に対する反発の声も出ています。

バイデン政権としては、仮設のふ頭の建設開始を発表することで、人道状況の改善に取り組む姿勢をアピールするねらいがあるとみられます。