参院予算委 政治資金規正法の改正をめぐり論戦

国会は参議院予算委員会で集中審議が行われ、政治資金規正法の改正をめぐり、立憲民主党は、自民党が23日まとめた独自の案では議員本人の責任が十分に問えないと指摘しました。
これに対し岸田総理大臣は収支報告書の『確認書』の提出により本人が確認を怠った場合の責任を担保する内容になっていると強調しました。

自民 田中昌史氏 派閥の政治資金問題について

▽自民党の田中昌史氏は派閥の政治資金パーティーをめぐる問題について「政治とカネの問題で国民に多大な政治不信を抱かせている。岸田総理大臣は今の国会で政治資金規正法を改正するとしているが、同時に重要なのは、自己規律のもとで法を順守する姿勢だ。再発防止に向けた意気込みを示してもらいたい」と求めました。

これに対し岸田総理大臣は「不記載の慣行が長年続けられてきた背景には、コンプライアンス意識の欠如や『長いものには巻かれる』という風土があったと感じている。法改正により制度面から再発防止を図ることは当然で、今の国会で実現し、あわせて運用面でも党の改革を進め、再発防止につなげていかなければならない」と述べました。

立民 蓮舫氏 政治資金規正法改正めぐる自民党案について

▽立憲民主党の蓮舫氏は、政治資金規正法の改正をめぐり、議員に収支報告書の「確認書」の作成を義務づけるなどとした自民党の案について「会計責任者の処罰が確定していなければ『確認書』を提出しても国会議員には処分が連座しない。『なんちゃって連座』だ」と指摘しました。

これに対し岸田総理大臣は「議員が確認を怠った場合は本人の責任が問われることを『確認書』の提出で担保しようという内容だ。公職選挙法の『連座』と収支報告書の不記載に対する責任の厳格化はおのずと性格は異なる」と説明しました。

さらに蓮舫氏は「私たちは、議員にも報告書の記載と提出を義務づけ故意や重過失があれば議員も処罰となる『連座制』を提案している。歩み寄る余地はあるか」と迫りました。

岸田総理大臣は「この問題にはさまざまな議論や意見があり、自民党としても深めていきたい」と応じました。

維新 片山大介氏 自民党案について「本当にもの足りない」

▽日本維新の会の片山大介氏は自民党の案について「与党の公明党にも促されようやく出されたが、中身を見ると本当にもの足りない。企業・団体献金や『政策活動費』の廃止も言及していない。これで十分だと思っているのか」とただしました。

これに対し岸田総理大臣は「再発防止に向けて議員の責任と透明性を強化する法改正は間違いなくやらなければならない。『政策活動費』などの問題も今後、与党や与野党の協議で議論していくという考え方を明記しており、この方針に従って深めていきたい」と述べました。

公明 伊藤孝江氏 自民党案について「固執せず協議に臨んで」

▽公明党の伊藤孝江氏は「公明党の案ではパーティー券の購入者名の公開基準を引き下げるべきとしているが、自民党案では触れられていない。自民党案に固執せず、国民の信頼を得るため真摯(しんし)に検討し協議に臨んでもらいたい」と求めました。

これに対し岸田総理大臣は「与党協議で真摯に議論したい。自民党のとりまとめの中でも政治資金パーティー収入の透明性は課題として掲げており、これも含めて与党として協議していきたい」と述べました。

共産 小池書記局長 「政策活動費」について

▽共産党の小池書記局長は、政党から議員に支給される「政策活動費」をめぐり「自民党以外はみんな見直そうと言っており、自民党が『うん』と言えば済む話だ。自民党だけがいかがわしい活動をやっていると思われてもしかたがない」と訴えました。

これに対し岸田総理大臣は「個人のプライバシーや企業の営業秘密などの観点から使途を明らかにすることには慎重でなければならないが、それらを踏まえたうえで議論することを避けているものではない」と述べました。

また、国会議員に支給されている旧「文書通信交通滞在費」、「調査研究広報滞在費」の見直しをめぐり、岸田総理大臣は「支出可能な経費を何にするかや公開のあり方といった残された課題も議論を行うよう改めて党に指示を出した。今の国会で結論を出せるよう各党と議論していく」と述べました。

国民 舟山参院議員会長 安倍派 所属議員へキックバックについて

▽国民民主党の舟山参議院議員会長は、安倍派の所属議員へのキックバックをめぐり、かつて派閥会長を務めた森元総理大臣の関与について「いろいろな状況証拠や発言がある中で改めて聴取なりをすべきではないか。証言の音声データもあるようだが、確認したのか」と質問しました。

これに対し岸田総理大臣は「これまでの党の調査に加え、政治倫理審査会の弁明や発言、追加の聴き取り調査を踏まえても森元総理大臣の具体的な関与を確認することはできていない」と述べました。

れいわ 山本代表 能登半島地震への対応について

▽れいわ新選組の山本代表は、能登半島地震への対応をめぐり「宅地内での漏水を早急に解決してほしい。交通費や宿泊代、上乗せした工賃を支援しないと業者を集められないので予備費で対応してほしい」と求めました。

これに対し岸田総理大臣は「作業効率の観点から被災地に近い業者を確保することが重要だ。現時点で今月中に工事ができる24の業者を確保しており、県外からの支援についても必要な対応を検討したい」と述べました。

岸田首相 衆議院の3つの補欠選挙について

一方、今月28日に投票が行われる衆議院の3つの補欠選挙について、岸田総理大臣は「私の政治に対する姿勢も評価の対象に入ると認識しているが、選挙の勝敗や結果には地元の事情をはじめ多くの要素が含まれる。結果を冷静に分析し、今後に生かす努力は重要だ」と述べました。