【24日詳細】ガザ地区 支援物資増加傾向も衛生環境悪化か

国連は、イスラエル軍とイスラム組織ハマスとの戦闘が続くパレスチナのガザ地区では、人道支援物資の搬入量が増える傾向にあるとしつつもこれからの暑さに伴って衛生環境が悪化するおそれがあると指摘しました。

イスラエル軍が攻勢を強める構えを見せる中、人道危機がさらに深まることが懸念されています。

※中東情勢に関する日本時間4月24日の動きを随時更新してお伝えします。

ガザ地区 支援物資増加の傾向も衛生環境悪化のおそれ 国連が指摘

イスラエル軍とハマスとの戦闘が続くガザ地区では、およそ170万人が住む家を追われ、イスラエル軍が地区の封鎖を強める中で、食料や飲み水、医療物資が不足しています。

UNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関のラザリーニ事務局長は、23日の会見で、人道支援物資を運ぶためにガザ地区に入ったトラックの台数が22日には1日で316台にのぼるなど増える傾向にあり、状況に改善がみられるという認識を示しました。

ただ、UNRWAは、必要な支援を届けるには1日に500台以上が地区に入る必要があるとしています。

また、ラザリーニ事務局長は、多くの住民が避難している地域では、ゴミの処理が大きな課題となっていて、これからの暑さに伴って衛生環境が悪化し、病気がまん延するおそれがあると指摘しました。

一方、イスラエル軍は24日もガザ地区の広い範囲で空爆などを続けていて、ガザ地区の保健当局はこれまでに3万4183人が死亡したとしています。

イスラエル軍は多くの住民が避難する南部ラファへの地上作戦を含めガザ地区への攻勢を強める構えを見せる中、人道危機がさらに深まることが懸念されています。

イスラエル軍 ガザ地区北部の住民に退避通告

ガザ地区でイスラム組織ハマスに対する攻撃を続けるイスラエル軍は23日には北部の町、ベイトラヒヤの一部の住民に指定する場所まで退避するよう通告を出しました。

イスラエル軍はSNSで、この地域からイスラエル側に向けてロケット弾4発が発射されたとして、住民に退避の通告を出したあと、ロケット弾が発射された場所付近のトンネルの坑道や軍事施設などを空爆したとして、映像を公開しました。

映像では、爆発とともに炎と煙が上がる様子が確認できます。

イスラエル軍はガザ地区北部をほぼ制圧したとしていましたが、その後も、ハマスの戦闘員などとのゲリラ戦が続いていて、この地域への攻撃を一層強める構えを示した形です。

ナセル病院 少なくとも310人の遺体

イスラエル軍が今月初めに部隊を撤収させた南部ハンユニスにあるナセル病院では、23日、これまでに少なくとも310人の遺体が見つかったと中東の衛星テレビ局アルジャジーラなどが伝えています。

これに対し、ロイター通信はイスラエル軍が「根拠がない」と述べた上で「以前パレスチナ人が埋葬した遺体を人質捜索のために調査し、元の場所に戻した」と主張したと伝えています。

ガザ地区ではナセル病院のほかにも地区最大のシファ病院でも多数の遺体が見つかったと伝えられていて、国連人権高等弁務官事務所の報道官は、23日、記者会見で人権高等弁務官の談話として、「ナセル病院やシファ病院の破壊や病院とその周辺で大量の遺体が埋葬されていたのが見つかったことについてぞっとしている」と非難しました。

その上で、「遺体について効果的で透明な、独立した調査を求める」として死亡した原因などについて調査の必要性を訴えました。

イスラエル軍 “ヒズボラ幹部を殺害”

イスラエル軍はイランが支援する隣国レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの戦闘を続けていて、23日にはヒズボラの幹部を空爆で殺害したと発表しました。

ヒズボラはこれに対する報復として国境から20キロほど南にある町アッコ近郊のイスラエル軍の基地にドローン攻撃を仕掛けたとして応酬が続いています。