米議会下院の緊急予算案可決 ゼレンスキー大統領が歓迎

アメリカ議会下院がウクライナへの追加の軍事支援のための緊急予算案を可決したことについて、ウクライナのゼレンスキー大統領は「待ち望んでいた決定だ」と述べ歓迎するとともに、予算案のすみやかな成立に期待を示しました。

ウクライナの最大の軍事支援国となってきたアメリカでは、20日、議会下院がこれまで与野党の対立から承認されてこなかった、追加の軍事支援のための緊急予算案を賛成多数で可決しました。

予算案の成立にはこのあと上院での可決とバイデン大統領の署名が必要ですが、支援の再開に向け大きく前進しました。

これについてゼレンスキー大統領は20日、SNSに投稿した動画の中で「長いあいだ強く求めてきたアメリカの支援について、待ち望んでいた決定がなされた。前線にいる戦士たち、そしてロシアによるテロに苦しむ都市や村が実感するだろう。支援を支持してくれたすべての人に感謝する。これは命を救う決断だ」と述べ、歓迎しました。

その上で「この法案がアメリカの議会上院で迅速に審議され、バイデン大統領のもとに送られることを期待している」と述べ、予算案のすみやかな成立に期待を示しました。

首都キーウでは、市民からも歓迎する声が聞かれました。

このうち19歳の大学生の男性は「家族や友人が戦争に行っている。この支援は直接、友人たちの助けになる」と話していました。

また、29歳の男性は「支援がもう少し早く届けばと思う。ロシアは市民を標的にミサイルで攻撃している。街は無防備なままで、多くの人が亡くなった。ただ、遅くてもないよりはよい。私たちが勝利するまで支援が止まらないことを願っている」と話していました。

ロシア報道官 ”より多くのウクライナ人が死ぬだろう”

アメリカ議会下院がウクライナへの追加の軍事支援のための緊急予算案を可決したことについてロシア大統領府のペスコフ報道官は20日、ロシアの国営メディアの取材に対し「ウクライナへの支援を決めたことは予期していたことで、予想どおりだった。アメリカはさらに潤い、ウクライナをさらに荒廃させ、ゼレンスキー政権のせいでより多くのウクライナ人が死ぬだろう」と述べました。