衆院特別委 26日初開催で与野党合意 政治資金規正法改正へ議論

自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて、与野党は新たに設置した衆議院の特別委員会を来週26日に初めて開くことで合意しました。後半国会で最大の焦点となる政治資金規正法の改正に向けた議論が始まることになります。

今回の問題を受けて、国会では先に衆参両院に政治改革を議論する特別委員会が設置され、19日は衆議院の特別委員会が理事懇談会を開き、今後の審議日程を協議しました。

この中で与野党は、来週26日に初めて委員会を開き、各党がそれぞれ10分ずつ政治資金規正法の改正に向けた意見を述べることで合意しました。

また、立憲民主党はこれまでに公明党と野党各党がそれぞれ案をまとめているとして、自民党に対して速やかに案を示すよう求めました。

26日の委員会で自民党は、岸田総理大臣が示した議員の責任強化やデジタル化による収支報告書の透明性の向上などの論点に沿って党内で議論を行い、公明党と協議を進めていることなどを説明するものとみられます。

一方、野党側は、企業・団体献金の禁止や、いわゆる「連座制」の導入などを盛り込んだそれぞれの案を示して実現を求める構えで、来週から後半国会で最大の焦点となる政治資金規正法の改正に向けた議論が始まることになります。

自民 法改正に向けた党の案 来週はじめにもまとめへ

派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、岸田総理大臣と自民党の茂木幹事長は、来週はじめにも政治資金規正法の改正に向けた党としての案をまとめ、公明党との協議を進めていく方針を確認しました。

岸田総理大臣は19日午後、総理大臣官邸で自民党の茂木幹事長とおよそ30分間、会談し、今回の問題を受けた政治改革の進め方などをめぐって意見を交わしました。

そして、来週はじめにも政治資金規正法の改正に向けた党としての案をまとめ、公明党との協議を進めていく方針を確認しました。

法改正をめぐっては公明党と野党各党がそれぞれ案をまとめている一方、自民党は与党内の意見の違いが顕在化すれば合意形成が難しくなりかねないなどとして、党の案は固めないまま今週、公明党との協議に入りました。

これについて、公明党などから自民党に対し、党の案をまとめて公表するよう求める意見が出ていました。

自民の議論 公明の政治改革案

自民党は、岸田総理大臣が示した
▽議員の責任強化と
▽外部監査の強化
▽デジタル化による透明性向上の3つの論点に沿って党内で議論を進めてきました。

これまでのところ党としての案は固めていませんが、今週から公明党と、実務者による協議に入っています。

今の国会で与野党の合意を得て確実に法改正を実現したいとして収支報告書への不記載などの再発防止に論点を絞りたい考えです。

これに対し公明党は、
▽いわゆる「連座制」の導入や
▽収支報告書に名前などを記載しなければならないパーティー券の購入金額の引き下げ
それに、
▽政党から議員に支給される「政策活動費」の使途公開の義務づけなどを盛り込んだ案を19日に決定しました。

野党の政治改革案

立憲民主党は、
▽収支報告書に虚偽の記載があった場合、会計責任者だけでなく国会議員も責任を負ういわゆる「連座制」を導入することや
▽政治資金パーティーの全面禁止
それに、
▽企業・団体献金の禁止などを盛り込んだ党の考え方をまとめています。

日本維新の会は、
▽政治家の責任強化や
▽企業・団体献金の完全廃止
それに、
▽国会議員に毎月100万円支給されている「調査研究広報滞在費」の使途公開などを求め、党の政治改革大綱を発表しています。

共産党は、
▽企業・団体献金の全面禁止や
▽政治団体代表者の監督責任の強化
それに、
▽個人による寄付の上限額の引き下げなどを盛り込んだ、政治資金規正法の改正案を国会に提出しています。

国民民主党は、
▽「政策活動費」の廃止や
▽政治とカネの問題で国会議員が起訴された場合に、所属する党の政党交付金を減額することなどを盛り込んだ法案の骨子をまとめています。

れいわ新選組は、政治資金規正法を改正する前に自民党は問題の真相解明に徹底して取り組むべきだと訴えています。

岸田首相「最終的な改正案 可能なかぎり早期に示す」

岸田総理大臣は19日の参議院本会議で「着手すべき喫緊の課題は、厳格な責任体制の確立や政治資金の透明化の向上だ。わが党としては、議員本人の責任の強化、外部監査の強化、デジタル化の推進を内容とする政治資金規正法の改正について制度の詳細を詰め、考え方を整理してきた」と述べました。

その上で「すでに公明党との協議も開始している。今国会での法改正を必ず実現するべく、わが党としての最終的な改正案を責任を持って取りまとめ、可能なかぎり早期にお示ししたい」と述べました。

自民 大野敬太郎氏「法改正やり遂げる」

特別委員会で与党側の筆頭理事を務める自民党の大野敬太郎氏は、記者団に対し「自民党の派閥が起こした問題が起点となっているので、自民党で責任を持って政治資金規正法の改正をやり遂げる決意だ。今国会中に必ず改正するため全力を尽くす」と述べました。

また、記者団から26日の委員会までに自民党案や与党案をまとめる考えがあるかを問われ「協議中なので現時点で答えるのは難しいが、われわれの考えがないというわけではないので、公明党との協議の進展も含めて委員会で申し上げていく」と述べました。

公明 中川康洋氏「法改正は今国会の最大の課題」

特別委員会の理事を務める公明党の中川康洋氏は、記者団に対し「今回の問題には国民の関心が非常に高い。政治資金規正法の改正は今国会の最大の課題であり、国民の理解を得られるような形で議論し成案を得たい。党としていわゆる『連座制』など議員の監督責任や罰則の強化は一番大事にしていきたい」と述べました。

立民 笠 国対委員長代理「成案得るため努力」

特別委員会で野党側の筆頭理事を務める予定の立憲民主党の笠 国会対策委員長代理は、記者団に対し「幕引きは許されない。実態解明とあわせて、政治とカネの問題が再び起こらないような実効性のある改革案をきちんと実現できるかが私たちに課せられた使命だ。肝心の自民党が案を出していないことは極めて遺憾であり、自民党包囲網をつくり、成案を得るための努力をしていきたい」と述べました。

維新 浦野靖人氏「国民に納得してもらえるような成案を」

特別委員会で理事を務める予定の日本維新の会の浦野靖人氏は、記者団に対し「実効性のある、国民に納得してもらえるような成案ができるかどうかが重要だ。各党の内容に差は少しずつあるが、そこを乗り越えて成案をつくるのがわれわれの仕事だ。しっかり議論したい」と述べました。

共産 塩川鉄也氏「関係議員の国会招致求めていきたい」

特別委員会の委員で共産党の塩川鉄也氏は、記者団に対し「特別委員会の設置の契機となったのは自民党の裏金問題であり、この全容と真相の解明こそ必要だ。岸田総理大臣に質疑を行い、関係議員の国会招致を求めていきたい。この問題を解決するためには、企業・団体献金の全面禁止が必要だ」と述べました。

国民 長友慎治氏「全容解明に取り組んでいきたい」

特別委員会の委員で国民民主党の長友慎治氏は「委員会をしっかり充実させ、政治倫理審査会で明らかになっていない全容解明に取り組んでいきたい。政治資金規正法の改正案については、きょうの党の会議で最終的な確認を取り、公開したい」と述べました。

野党4党 参院でも特別委の開催 与党側に求めることで一致

衆議院の特別委員会を開くことで与野党が合意したことを受けて、参議院の立憲民主党、日本維新の会、共産党、国民民主党の野党4党の国会対策委員長が会談し、今後の対応を協議しました。

この中で、野党4党は、参議院でも来週26日に政治改革を議論する特別委員会を開き、各党が政治資金規正法の改正に向けた意見を述べる機会をつくるよう与党側に求めていくことで一致しました。