【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(4月19日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる19日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、およびロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ ロシア爆撃機を撃墜したと発表

ウクライナ空軍は19日、SNSで対空ミサイル部隊が巡航ミサイルを搭載できるロシア軍の爆撃機ツポレフ22M3を撃墜したと発表しました。

これについて、ロシア国営のタス通信は国防省の話として、ツポレフ22M3が戦闘任務から帰還する際に、ウクライナとの国境からおよそ300キロ離れたロシア南部のスタブロポリ地方に墜落したとした上で、「現時点での情報では、墜落は技術的なトラブルが原因だ」としています。

地元の知事がSNSに投稿した写真では、焼け焦げた機体がばらばらになっているのがわかるほか、ウクライナのメディアはこの爆撃機と見られる機体が回転しながら墜落していく映像がSNS上に投稿されているとしています。

ウクライナ東部にミサイル攻撃 子ども含む8人死亡

ロシア軍は、19日もミサイルや無人機を使ってウクライナに対して攻撃を続けていて、ウクライナのクリメンコ内相によりますと、東部ドニプロペトロウシク州では、市街地へのミサイル攻撃などでこれまでに子どもを含む8人が死亡し、18人がけがをしたということです。

ゼレンスキー大統領は、「すべてのミサイルや無人機は迎撃されなければならない。われわれのパートナーは必要な能力を持っている」として改めて防空システムなどの支援を呼びかけました。

ウクライナ首相 “バイデン政権が支援を約束”

ウクライナのシュミハリ首相は、アメリカ議会上院の与野党のトップなどと会談したあと、18日、ワシントンで記者会見しました。

この中で、シュミハリ首相は、共和党のジョンソン下院議長が17日、ウクライナへの追加の軍事支援のための緊急予算案について、4月20日に議会下院での採決を目指す考えを明らかにしたことについて、「前進があった。われわれは、共和党からも民主党からも法案への支持を得たと楽観している」と述べ、予算案の速やかな承認に期待を示しました。

そのうえで、「われわれは、防空ミサイルや防空システムの供与を要請してきた。ホワイトハウスとも協議したが、彼らは数週間以内に供与すると約束した」と述べ、バイデン政権からは予算案が承認されれば数週間以内に防空システムの強化に向けた支援があると約束されたと明らかにしました。

また、シュミハリ首相は、ロシアへの経済制裁として凍結されたロシア中央銀行の保有資産について、「ロシアの侵略によるすべての被害を補償するため、没収する権利がある」と述べ、ウクライナの復興に役立てるべきだとの考えを重ねて示しました。

アメリカCIA長官 “追加支援なければ年内にウクライナ敗北も”

ウクライナへの追加の軍事支援をめぐっては、アメリカ議会下院で緊急予算案の採決に向けた動きが出ているものの、支援に消極的な共和党の保守強硬派の一部の議員が強く反発していて、予算案が可決されるかどうか不透明な状況となっています。

こうした中、CIAのバーンズ長官は18日、テキサス州で行われた講演で「追加の支援がなければ状況はより悲惨なものになるだろう。ウクライナがことしの終わりまでに敗北する危険性が現実的にある」と述べ、強い危機感を示しました。

一方でバーンズ長官は「アメリカからの軍事支援によって、実質的にも心理的にも後押しされればウクライナの人々は持ちこたえ、時間が味方するというプーチン氏のごう慢な考えを打ち砕くことができる」と述べ、追加の軍事支援が今後の戦局に大きな影響を与えるとして速やかな予算案の可決の必要性を強調しました。

G7外相会合参加の上川外相 “ウクライナへの支援継続”

イタリア南部のカプリ島で開かれているG7の外相会合は、日本時間の18日夜遅くから19日未明にかけてウクライナ情勢をテーマにした討議を行い、ウクライナのクレバ外相やNATO=北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長も出席しました。

上川外務大臣は「『きょうのウクライナはあすの東アジアかもしれない』という問題意識で取り組んでおり、ウクライナとともにあるという日本の立場は揺るがない」と述べ、ロシアに対する厳しい制裁とウクライナへの支援を継続していく方針を強調しました。

会合の中でクレバ外相がロシア軍によるインフラ施設への攻撃で深刻な被害が出ているとして防空システムへの支援の強化を求めたのに対し、上川大臣はNATOの基金に3700万ドル、日本円でおよそ57億円を拠出しドローン攻撃を検知するシステムを供与したことを紹介しました。

ミサイルで18人死亡のチェルニヒウ 学生 “大きな音が怖い”

ウクライナ北部のチェルニヒウでは17日にロシア軍によるミサイル攻撃があり、地元当局などの発表によりますと3発の巡航ミサイルで、これまでに18人が死亡したほか78人がケガをしました。

被害を受けたのはホテルや大学、病院などが集まる地域で18日、NHKの取材班が現場を訪れるとミサイルが直撃したとみられるホテルは大きく崩れ、部屋がむき出しになっていたほか一部は跡形もなくなっていました。

また、周囲の建物も窓ガラスが壊れるなどの被害が出ていて、およそ100メートルほど離れた大学の寮では割れた窓ガラスを片づける作業が行われていました。

寮に住む17歳の学生は「とても怖かった。割れたガラスに当たらなかったのは奇跡だった。いま、大きな音が怖い。あんなことはいままで見たことがなかった」と衝撃を振り返っていました。

チェルニヒウでは18日を喪に服す日とし、市内の公共施設には黒いリボンがとりつけられた半旗が掲げられ犠牲者を悼んでいました。

チェルニヒウ州の幹部はNHKの取材に対し「ロシアによる平和な街への新たなテロ行為だ。もし十分な防空システムが備わっていれば、攻撃の結果はここまでひどくならなかった」と訴えていました。

ウクライナにとって今回の被害は防空システムの強化に向けて支援を繰り返し訴える中で起きた形で、今後、欧米各国の対応が焦点となります。

ウクライナ クレバ外相 防空システムへの支援強化求める

イタリアで開かれているG7外相会合は18日、ウクライナのクレバ外相やNATO=北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長も出席して、ウクライナ情勢について協議が行われました。

これを前に、クレバ外相はメディアに対し「私がここに来たのは、ウクライナに防空システムやミサイルを供与するよう話すためだ。G7にはそれを行う能力がある」と述べ欧米などに対し防空システムの支援の強化を求めました。

ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍は先月中旬以降、発電所などのインフラ施設を標的にした攻撃を激化させ、各地で深刻な被害が出ています。

ゼレンスキー大統領は、キーウ州にある最大の火力発電所が今月11日、ミサイルの攻撃を受けた際に防空システムのミサイルが枯渇していて撃墜できなかったと明らかにするなど防空能力のぜい弱性を重ねて強調し、欧米側に支援を訴えています。

ロシア “ザポリージャ原発の施設にウクライナ軍の無人機攻撃”

ロシアは18日、占拠を続けるウクライナ南部のザポリージャ原子力発電所の訓練施設にウクライナ軍の無人機による攻撃があったと主張しました。施設に被害はなく、けが人もいないとしています。

ドイツでドイツ・ロシア双方の国籍持つ2人を逮捕 破壊工作計画か

ドイツの検察当局は18日、国内にある軍事施設などに対し、爆発物を使った破壊工作を計画していたなどとしてドイツとロシア双方の国籍を持つ2人を、スパイ容疑などの疑いで逮捕したと発表しました。

ウクライナへの軍事支援の妨害をねらっていたとされ、ドイツの有力誌シュピーゲルは、2人が標的としていたのは、ウクライナ軍の兵士が戦車の訓練を受けるアメリカ軍の軍事施設などだと伝えています。

検察当局によりますと、このうち1人は、ロシアの情報機関とつながりのある人物と、去年10月から連絡を取り合っていたということで、フェーザー内相は18日「ロシアのプーチン政権のために計画されたとみられる深刻な事案だ」と述べ、危機感を示しました。

一方、ロシア大統領府のペスコフ報道官は18日「これに関する情報は持ち合わせていない」と述べるにとどめています。