韓国旅客船沈没事故から10年 遺族ら政府に原因の究明求める

韓国南部の沖合で旅客船が沈没して高校生など299人が亡くなった事故から10年となる16日、各地で追悼式典が行われ、遺族らは調査委員会が明確に示していない事故原因の究明などを政府に求めました。

2014年の4月16日、韓国西部のインチョン(仁川)を出発し、チェジュ(済州)島に向かっていた旅客船セウォル号が韓国南部の沖合で沈没し、修学旅行中だった高校生を含む299人が犠牲になり、5人の行方がわかっていません。

事故から10年となる16日、韓国の各地で追悼式典が行われました。

このうち、南西部モッポ(木浦)沖の現場海域では、遺族や知人およそ40人が海洋警察の船の上で追悼行事を行いました。

遺族らは海に向かって献花し、亡くなった子どもの名前を叫んだり、静かに海を見つめたりして犠牲者を追悼していました。

高校生の娘を亡くしたキム・ビョングォン(金炳権)さんは「10年たつが、とても重苦しい気持ちで日常生活に戻れないでいる。4月はつらい」と話していました。

また、亡くなった高校生たちが通っていた高校があるソウル郊外のアンサン(安山)でも追悼式典が行われ、遺族の代表は「事故現場には生死の岐路に立つ国民の命を救う国家が存在しなかった」などと、当時の政府の対応を非難しました。

そして、調査委員会が明確に示していない事故原因の究明や、当時の関係機関の責任者の処罰などを求めました。

ユン大統領「あの日の状況はいまでも目に浮かぶ」

韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領は、16日の閣議で旅客船沈没事故に言及し、「10年たったが、あの日の状況はいまでも目に浮かぶ。犠牲になった方の冥福をお祈りする。遺族の方々に改めて心よりお見舞い申し上げたい」と述べました。