浄土宗の開宗850年 ゆかりの国宝などの特別展 あすから 東京

法然によって浄土宗が開かれてからことしで850年になるのに合わせ、ゆかりの国宝などを集めた特別展が、16日から東京国立博物館で始まります。

浄土宗は、内乱や災害に見舞われた平安時代末期、南無阿弥陀仏と唱えることで誰もが等しく救われ極楽浄土に往生できると、法然が開きました。

開宗850年に合わせて、東京 上野の東京国立博物館では120余りの文化財を集めた特別展が開かれます。

このうち、鎌倉時代に描かれた国宝の「阿弥陀二十五菩薩来迎図(あみだにじゅうごぼさつ らいごうず)」は、「早来迎(はやらいごう)」とも呼ばれ、雲の上の仏たちが迎えに来る様子を対角線上に描くことで速度をつけた印象を持たせる構図が特徴です。

また、同じく国宝に指定されている「綴織當麻曼陀羅(つづれおりたいままんだら)」は、奈良県の寺に所蔵されている縦横およそ4メートルのお経を絵画にした迫力ある極楽浄土図で、県外では初めての展示となります。

このほか、徳川家が浄土宗を熱心に信仰していた江戸時代に当時の高松藩の初代藩主が作らせた「仏涅槃群像(ぶつねはんぐんぞう)」では、横たわるおよそ2メートルの釈迦の周囲に猿などの動物も含む合わせて26体の像が並べられています。

東京国立博物館学芸研究部の瀬谷愛 登録室長は「法然は、当時の人々の生活が厳しく、いかに全員を救うかという壮大な目標のもとに、浄土宗の教えに気付いたのだと思います。今も戦争や地震はありますが、立場に関係なく救われるために当時の人たちがどう乗り越えてきたか、展示を通して思いをはせてほしい」と話していました。

特別展はことし6月9日まで開かれます。