ウクライナ軍 “ロシア軍 戦勝記念日に向け東部拠点掌握狙う”

ウクライナ軍の総司令官は、ロシア軍がプーチン大統領が重視する5月9日の第2次世界大戦の戦勝記念日に向けて、東部ドネツク州の拠点の掌握を狙っているという見方を示し、警戒を強めています。

ロシア軍は、ウクライナ東部で攻勢を強めていて、東部ドネツク州のバフムトの西側にある拠点チャシウヤルに向けても攻撃を続けています。

ウクライナ軍のシルスキー総司令官は14日、SNSで「ロシア軍の最高指導部は5月9日までにチャシウヤルを占領する任務を部隊に命じている」と投稿し、ロシア軍は第2次世界大戦でナチス・ドイツに勝利した戦勝記念日にあたる5月9日に向けて、チャシウヤルの掌握を狙っているという見方を示しました。

プーチン大統領は国威発揚のため戦勝記念日をとりわけ重視しています。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」も13日、ロシア側はアメリカの軍事支援の遅れによってウクライナが十分な防衛作戦ができないなどと判断し、先月からチャシウヤルの掌握に向けた動きを強めていると指摘しました。

そのうえで、ロシア軍がチャシウヤルを掌握すれば、ここを足がかりにしてドネツク州のクラマトルシクなど、ほかの重要都市に対する攻撃の機会を与えることになると分析しています。

ゼレンスキー大統領 “ドネツクの戦況 特に最近は悪化”

ロシア軍は、東部ドネツク州で攻勢を強めていて、ウクライナのゼレンスキー大統領はドネツク州の戦況について「特に最近は悪化している」と述べ危機感を示しました。

ウクライナのゼレンスキー大統領は14日のビデオ演説で「ロシア軍はこの1週間だけで、130機近い無人機や、80発以上のミサイル、700発近くの誘導爆弾を使った」と指摘し、ロシア軍による攻撃が激しくなっているとの認識を示しました。

また、前線の状況について、ゼレンスキー大統領は「状況は常に厳しいが、特に最近は、ドネツク方面で悪化している」と述べ、東部ドネツク州で苦戦を強いられていると危機感を示しました。

また、ウメロフ国防相も、14日のSNSへの投稿で、東部の前線を訪れたとしたうえで「ロシア軍がバフムトの西側で突破口を開くために戦力を集中させ、前進を試みている」と述べ、状況は緊迫しているとの認識を示しました。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は14日、アメリカの軍事支援が遅れ、ウクライナの防空ミサイルが枯渇していることに加え、ロシアの空爆の戦術が向上していることで、ロシアがより効果的に作戦を進めていると指摘しています。