大谷翔平 大リーグ通算HR 日本選手最多タイに 1000安打到達も

大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手が12日、パドレス戦の第1打席で大リーグ通算175本目となる今シーズン4号のソロホームランを打ち、松井秀喜さんが持つ日本選手の最多ホームラン記録に並びました。

先月、韓国で開幕シリーズを戦ったドジャースとパドレスの試合は、ドジャースの本拠地、ロサンゼルスのドジャースタジアムで12日から3連戦が始まりました。

その初戦、大谷選手は2番・指名打者で先発出場し、1回、2点を先制された直後の最初の打席で150キロを超える速球を捉え、センター方向へ3試合ぶりとなる4号ソロホームランを打ちました。

大谷選手は、大リーグ通算のホームラン数を175本として、松井秀喜さんが持つ日本選手の最多ホームラン記録に並びました。

飛距離122.8メートル

大谷選手は1回の第1打席、ワンボールからの2球目、アウトコース高めの153キロのストレートを捉えました。

センター方向への当たりがフェンスを越えると、大谷選手は表情を変えずにベースをまわり、ベンチに戻るとチームメートからひまわりの種をかけられて祝福されていました。

打球の速度は172.6キロ、角度は25度で、飛距離は122.8メートルでした。

スタジアムのスクリーンに「175」の数字が大きく表示されると、ファンから大きな拍手が送られました。

ヒットも 日米通算1000安打到達

第2打席は2回、前を打つベッツ選手のスリーランホームランなどで5対3と逆転したあとの2アウトランナーなしの場面で、センター方向にライナー性の鋭い当たりを打ちましたが、ここは相手センターのダイビングキャッチに阻まれました。

7対3とリードが広がった5回は、先頭バッターで第3打席に立ち、レフト線に落ちるツーベースヒットで塁に出ました。

大谷選手はこれが大リーグで通算704本目のヒットで、プロ野球、日本ハム時代の296本と合わせて節目となる日米通算1000安打に到達しました。

さらに7対7の同点で迎えた7回は、パドレスの3人目としてこの回からマウンドに上がった松井裕樹投手と対戦し、変化球を引っ張って両リーグを通じてトップの今シーズン10本目となるツーベースヒットを打ちましたが、得点にはつながりませんでした。

9回の第5打席は、インコースの力強いボールを腕をたたみながらうまく打ち返しましたが、センターライナーとなりました。

試合は同点のまま延長戦に入り、ドジャースは11回、パドレスに1点を勝ち越されて7対8で敗れました。

大谷選手は5打数3安打1打点で今シーズン2回目の1試合ヒット3本をマークし、打率は3割5分3厘に上がりました。

また、この試合はチームメイトの山本由伸投手が先発登板し、5回3失点で勝ち投手の権利を持ってマウンドを降りましたが、その後、リリーフした投手が打たれて勝ち負けはつかず、2勝目は持ち越しとなりました。

一方、大谷選手と直接対決したパドレスの松井投手は、1イニングを投げて無失点でした。

松井秀喜さんに並ぶ175本について

大谷選手は試合後、報道陣の取材に応じ、松井秀喜さんの日本選手、最多ホームラン記録に並んだことについて、「小さいころからずっと見てきた同じ左バッターとして憧れているような存在だった。そういう方に記録で並べたというのは自分にとって すごく幸せなことだ。個人的にももちろんうれしいが、日本の野球界にとっても大きいことではないかと思う」と喜びを語りました。

この試合で打ったホームランについては、
「ストライクゾーンからちょっと外れていた。ホームランにできているということはいいスイングの軌道だと思うが、基本的にはボールは見逃すというのが鉄則なので、いいところと悪いところがある」と振り返りました。

そして、「次の1本、次の1本ということが基本的な考え方だ。どこを目指すとかではなくて、1本打ったらまた次の1本ということが大事だと思う」と冷静に今後を見据えていました。

一方、報道陣から水原元通訳が訴追されたことについて受け止めを尋ねようとすると、球団の広報担当者が質問を遮る場面もあり、大谷選手がこの場で言及することはありませんでした。

松井秀喜さん “ファンが喜ぶ数字を残していくことを応援”

松井秀喜さん
「大谷選手は昨年、大リーグでホームランのタイトルを取ったほどのパワーも技術もある選手です。私の大リーグで打ったホームラン数は私自身誇れる数字ではないと感じていますので、今後も大谷選手が200、300、400本と日本の野球ファンの皆様が喜ぶ数字を残していくことを私も応援しております」

山本由伸 “意識するポイントを意識して立て直せた”

山本投手は1回、4番のマチャード選手に対して投げた初球のカーブをツーランホームランとされ、大リーグ移籍後初めてホームランを許しました。
山本投手はこのホームランについて「ベストのボールではなかったが、しっかりとスイングされて打たれてしまった。すごくいいバッティングだった」と振り返っていました。
1回と2回のピッチングについては「コントロールできていないところがあった。もう一度落ち着き直して、いつも意識するポイントを意識してなんとか立て直せた。次はもっと立ち上がりからしっかりよいボールを投げて、もう少し長いイニングを投げていけたらよりチームに貢献できると思う」と課題をあげ、次の登板を見据えていました。

松井裕樹 “何とか粘れてよかった”

パドレスが同点に追いついた直後の7回に登板し、1番から始まる相手の攻撃を無失点に抑えた松井裕樹投手は「いい流れで追いついてもらったので、勝ち越されるわけにはいかないと思っていた。何とか粘れてよかった」と振り返りました。
ツーベースヒットを許した大谷選手との対戦については「映像を見たらど真ん中だった。やはりあのクラスのバッターは逃してくれない。ボールが先行するカウントになってしまったので反省を次にいかせるようにしていきたい」と話していました。

《日本選手の通算HR数》大谷選手 近年は驚異的なペース

175本 大谷選手 松井秀喜さん
117本 イチローさん
48本  城島健司さん
44本  井口資仁さん
42本  福留孝介さん
36本  鈴木誠也選手

大谷選手がホームランを打ちこれで大リーグでの日本選手の通算ホームラン数は、大谷選手と松井秀喜さんが175本でトップ。2人に次ぐ3位はイチローさんの通算117本で、100本以上打っているのはこの3人だけです。

4位は城島健司さんの48本、5位は井口資仁さんの44本、6位は福留孝介さんの42本と7位はカブスの鈴木誠也選手で現時点で36本を打っています。

松井さんが通算1205試合で175本に到達したのに対し、大谷選手はバッターとして出場した717試合目でこの記録に並びました。特に2021年から昨シーズンまでの3年で124本を打つなど近年は驚異的なペースでホームランを積み重ねてきました。

試合後【一問一答』

大谷選手は日本選手最多に並ぶホームランを打った試合後、報道陣の取材に応じました。松井秀喜さんの記録に並んだ今の気持ちなどについておよそ6分間質問に答えました。

一方、取材前に球団側から野球の質問に限るよう説明があり、水原元通訳について言及することはありませんでした。

Q.日本選手のホームラン記録に並んだ気持ちは?

大谷翔平選手
「率直にうれしいですし、個人的にももちろんうれしいですけど、日本の野球界にとっても大きいことではないかなと思います」

Q.山本由伸投手、初登板以降は落ち着いてきているようだが。

「決して悪いピッチングではなかったと思いますし、たまたま1本大きいのが出て、得点されてますけれど、比較的テンポよく投げてたんじゃないかなと思います」

Q.チームの粘り強さはどうだった?

「毎回のようにやっぱりチャンスにもなりますし、一人一人が仕事はしていると思うので、なかなかかみ合うというか、まあ、競った試合で落としてしまったというのはもちろん残念なことではありますけど、比較的いい粘りだったと思うので、また切り替えてあす頑張りたいなと思います」

Q.松井さんの記録と並んだことは。

「さきほども言いましたけど、もちろん個人的にもうれしいですし、日本の野球界にとっても大きいことだと思うので、まあ、個人的にはまた、次の1本、前も言いましたけど切り替えて、また次の1本を打てるように頑張りたいと思います」

Q.175本の記録はどれくらい意識していた?

「もちろん知ってはいましたけれど、個人的には、前も言いましたけど、次の1本次の1本というのが基本的な考え方としては、どこを目指すとかではなくて、1本打ったらまた次の1本ということが大事かなと思います」

Q.松井さんは日本の野球界にとってどんな存在?

「長距離のバッターとして、日本でももちろん僕が小さいころからずっと見てきましたし、同じ左バッターとして憧れているような存在ではあったので、そういう方に記録で並べたというのは自分にとってはすごく幸せなことだなと思います」

Q.日米通算1000本安打を達成したが、きょうのバッティングはどうだったか。

「アウトになってる打席もいいというのが、いちばん、個人的にはいいアットバット(打席)が多いということは、それだけチャンスにもなるとは思うので、そこは、ヒットになってる打席以外もよかったんじゃないかなと思います」

Q.これまで日本選手にホームランが難しいと言われていたが、そのなかでトップに立ったことについては。

「そこもそうですね、まあ、具体的にその、何打席で何ホームランみたいなことは僕はちょっとわからないので、そこらへん正確には言えないですけど、まあ、体も大きいし、長打というのが一つ、まあ、うりではあると思うので、そこの強みをまず生かしていきたいなと思います」

Q.きょうのホームランは完璧に近いものだった?

「そうですね、まあプレートからはちょっと外れている難しいボールではあったと思うので、それをまあ、ホームランにできてるというのは、基本的にはいいスイングの軌道だなとは思いますけれど、基本的にはボールは見逃すというのが、鉄則ではあるので、そういう観点で言うと、手は出ているので、いいところと悪いところがあるかなと思います」