【詳細 13日】“イランがイスラエル関係の船舶拿捕”

イランの国営通信は13日、中東にある海上交通の要衝、ホルムズ海峡付近で、イランがイスラエルに関係のある船舶を拿捕(だほ)したと伝えました。イラン側は今のところ正式な声明などは出していませんが、シリアにある大使館の建物を攻撃されたことへの報復措置の一環である可能性があります。

※イスラエルやパレスチナに関する日本時間4月13日の動きを随時更新してお伝えします。

イランの国営通信は13日、ペルシャ湾とオマーン湾を結ぶ海上交通の要衝、ホルムズ海峡付近で、イランの軍事精鋭部隊・革命防衛隊の海軍が、イスラエルに関係のある船舶を拿捕したと伝えました。

拿捕された船舶は、ポルトガル船籍で、イスラエル人の実業家が関わっているとしています。またこの船舶は、イランの領海に向かっていると伝えています。

イラン側は今のところ正式な声明などは出していませんがイスラエルに対する報復措置の一環である可能性があります。今後、両国の間で報復の応酬がエスカレートした場合、ガザ地区の情勢をめぐり混迷を深める中東情勢が、さらに緊迫化することが懸念されます。

イスラエル外相「国際法に違反し 海賊行為」

イスラエルのカッツ外相は13日旧ツイッターのXへの投稿で、イランの革命防衛隊が、船舶を拿捕したとしたうえで、イラン側に対し「ハマスの犯罪を支援するばかりか、国際法に違反して海賊行為を行っている」と非難しました。

そして国際社会に対し、イランに制裁を行うよう呼びかけました。

ガザ地区 イスラエル軍による攻撃相次ぐ

パレスチナの地元メディアによりますと、ガザ地区では12日夜から北部を中心に、イスラエル軍による攻撃が相次ぎました。

イスラエル軍は、軍事作戦を続けながらガザ地区への人道支援の拡大を行うと主張していて、ガザ地区北部との境界に新たに設けた検問所から食料を積んだトラックが入ったと12日、発表しました。

ガザ地区北部では特に食料不足が深刻で、どれだけの食料や物資の搬入を認めるかなどイスラエル側の対応が注視されています。

イスラエル軍“隣国レバノン側から攻撃受けた”

イスラエル軍は12日、隣国レバノン側からイスラエル北部に対し、およそ40発のロケット弾を使った攻撃を受けたと発表しました。

けが人はいなかったとしています。

イランの支援を受けるイスラム教シーア派組織ヒズボラは12日の声明で、イスラエル側に複数の攻撃を行ったと認めました。

攻撃の理由については、ガザ地区の人々を支援するためだなどとしています。

イランはシリアにあるイラン大使館が4月1日、イスラエルによってミサイル攻撃を受けたとして報復を宣言し、イスラエル軍のハガリ報道官は12日の会見で「今後数日は警戒が必要だ」と呼びかけています。

こうした中での攻撃だけに、イスラエルではいっそう警戒感が高まっています。

外務省 中東での緊張が高まっていることを受け注意喚起

中東での緊張が高まっていることを受けて、外務省は12日、注意喚起の情報を出しました。

それによりますと、イスラエルに滞在中の日本人には外務省からメールを送るなどして細心の注意を払うよう呼びかけています。

またそれ以外の国や地域でもイスラエル大使館など関連施設にはできるだけ近づかないよう呼びかけています。

そして、最新の情報を確認し、身の危険を感じるときはすみやかにその場を離れるなど、安全確保に努めるよう求めています。

ドイツ・フランス・インド 渡航控えるよう呼びかけ

ドイツやフランス、インドの政府は12日、自国民にイランやイスラエルなどへの渡航を控えるよう呼びかけ、欧米メディアによりますと、ドイツのルフトハンザ航空とオーストリア航空は今月中旬までイランの首都テヘランに向かう便などを運休すると発表しました。

イスラエル国防相 イランの報復宣言めぐり 米中央軍トップと協議

今月1日にシリアにあるイラン大使館が攻撃を受けたことをめぐり、イランはイスラエルによるものだとして報復を宣言していて、アメリカの複数のメディアは関係者の話として、イランが近くイスラエルに対して攻撃を行う可能性があると伝えています。

こうした中、イスラエルのガラント国防相は12日、南部の空軍基地で、中東地域を担当するアメリカ中央軍のクリラ司令官と会談したあと「われわれはパートナーと緊密に連携し、空と陸での自衛の準備はできている」とする声明を発表しました。

ガラント国防相は、アメリカのオースティン国防長官とも11日に電話で会談したほか、イスラエルのメディアは12日、ネタニヤフ首相がイランへの対応をめぐり安全保障担当者らと協議を行ったと伝えるなど、イスラエル政府は警戒を強めています。

米高官 イランの報復宣言めぐり「脅威は現実的」と警戒強める

アメリカ・ホワイトハウスのカービー大統領補佐官は12日、記者団からイランによる攻撃は差し迫っているのかと問われ「われわれはイランによる潜在的な脅威は現実的だと考えていて、最大限、注視している」と述べました。

また、カービー補佐官は、バイデン大統領が情勢について1日に複数回、報告を受けているとした上で「アメリカ軍の態勢を見直し、調整したことは否定しない」と述べ、アメリカ軍が周辺地域で警戒を強めていることを明らかにしました。

アメリカのCBSテレビは12日、イランによる攻撃について、複数の当局者の話として早ければ12日にもありえるとした上で、イスラエル国内にある軍事施設に対して100以上の無人機や数十のミサイルが使われる可能性があると伝えました。

一方で、これらの当局者は、イランが過度に緊張が高まることを避けるため、攻撃の規模を抑える可能性もあるとしていると報じています。

バイデン大統領 “イランに「やめろ」” 自制強く求める

アメリカのバイデン大統領は12日、イランによる攻撃は差し迫っているのかと記者団から問われ「どちらかと言えばすぐだろう」と述べました。

そして、イランに伝えたいことは何かと問われると「『やめろ』だ」と述べ、イランに対して自制を強く求めました。

その上で「われわれはイスラエルの防衛のために尽くす。イランは成功しない」と強調しました。

イスラエル軍 ガザ地区の支援物資搬入を発表 人道配慮をアピール

ガザ地区では、イスラエル軍の軍事作戦が続いていて、現地の保健当局は12日、死者の数は過去24時間で89人増え、3万3634人になったとしています。

人道状況のさらなる悪化が懸念される中、イスラエル軍は12日、ガザ地区北部の検問所から食料を積んだトラックが入ったと発表しました。

イスラエルとしては、人道面にも配慮しているとアピールしたいねらいがあるとみられますが、国連は、ガザ地区北部で30万人以上が深刻な食料不足に直面しているとしていて、支援物資を途切れることなく届け続けることができるのかが焦点です。