サントリーHD ウイスキー蒸留工程で水素活用する実証実験開始

脱炭素化が課題となる中、飲料大手のサントリーホールディングスは、ウイスキーを蒸留する工程で燃料に水素を活用するための実証実験を進め、来年以降、蒸留所での商用化を目指すことになりました。

サントリーホールディングスは、ウイスキーを生産する際に1000度以上の温度で蒸留する工程について、現在は燃料に都市ガスを使っていますが、新たに水素を活用することを検討しています。

会社によりますと、東京ガスなどと共同で実証実験を進めた結果、味や風味などの品質を損なわず蒸留を行うことが可能になったということで、この方法による蒸留では世界で初めてだということです。

会社では今後、安全面やコスト面などの検証を重ねた上で、山梨県にある蒸留所で来年以降の商用化を目指すことにしていて、再生可能エネルギーでつくられた水素の活用も合わせて検討し、脱炭素化につなげたいとしています。

栗原勝範執行役員は「現段階では水素の活用でコストは上がるが、ウイスキーは長期に熟成させるので、将来、お客さまに届いたときに価値を感じてもらいたい」と話していました。

飲料メーカーによる水素の活用をめぐっては「UCC上島珈琲」が水素を熱源とするばい煎器を来年4月以降に稼働させて店舗などでの提供を目指すなど、脱炭素化に向けた対応が広がってきています。