韓国総選挙 野党の過半数維持が確実に 公共放送KBSが伝える

10日に投票が行われた韓国の総選挙について、公共放送KBSは、革新系の最大野党・共に民主党が過半数を維持することが確実になり、系列の政党を含めて170議席以上を獲得する見通しだと伝えました。就任から3年目に入るユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領は、少数与党のもとで引き続き難しい政権運営を迫られることになりそうです。

韓国の総選挙は、一院制の国会の小選挙区と比例代表あわせて300議席をめぐって争われ、10日に投票が行われました。

公共放送のKBSは11日朝、革新系の最大野党・共に民主党が過半数を維持することが確実になり、系列の政党を含めて170議席以上を獲得する見通しだと伝えました。

一方、ユン・ソンニョル大統領を支える保守系の与党・国民の力は系列の政党を含めて100議席あまりを獲得する見通しだと伝えています。

韓国の選挙管理委員会によりますと、暫定投票率は67%で前回4年前より0.8ポイント高くなりました。

今回の総選挙はユン・ソンニョル政権の中間評価とも位置づけられていましたが、5月で就任から3年目に入るユン大統領としては国会で野党側の強い抵抗に直面することは避けられず、引き続き難しい政権運営を迫られることになりそうです。

専門家 “ユン政権の求心力の低下は避けられない”

韓国政治に詳しい静岡県立大学の奥薗秀樹教授は、選挙の結果がユン・ソンニョル政権の対日姿勢に影響を与えるのかどうかについて「野党の反発があり、政治的リスクのある決断でも、ユン大統領は韓国の将来に必要ならば推進すると宣言し、その1つに対日関係の正常化を挙げている。選挙の結果を受けてむしろ政権の数少ないレガシーとして日韓、日米韓の連携強化にさらに取り組むことも考えられる」と述べて、外交方針は維持されるとの見方を示しました。

一方で「これだけ明確に民意が示されると、大統領としても政権与党としてもこれを無視できない。政権発足からこれまでの2年、必ずしも世論の支持がなく、野党の反発があっても強引に進めてきた諸政策の推進力を落とすことになる」と述べて、ユン政権の求心力の低下は避けられないと指摘しました。