吉野家HD河村社長「消費が力強く回復する状況にはない」

吉野家ホールディングスの河村泰貴社長は10日に開かれた決算会見で、賃上げの動きが広がる一方で可処分所得が十分に上がっておらず、消費が力強く回復する状況にはないという認識を示しました。

吉野家ホールディングスが10日発表した2024年2月までの1年間のグループ全体の決算は、売り上げが前の年を11.5%上回る1874億円となりました。

また、本業のもうけを示す営業利益は前の年の2.3倍となる79億円となりました。

これは、▽新型コロナの5類移行に伴って客数が伸びたことに加え、▽牛肉や食用の油といった原材料価格の上昇を受けて2023年10月に牛丼などの値上げを行い客単価が伸びたことなどが主な要因だとしています。

一方で、2025年2月までの1年間の業績については、新規出店に伴うコストの増加のほか、原材料価格や人件費の上昇によって営業利益が前の年に比べて12.2%減少するという見通しを示しています。

河村泰貴社長は10日の記者会見で「賃上げで所得が上がっていくことが期待されるが、実際に生活者の可処分所得が十分に上がっているとは言えない状況だと考えている。前年よりは客数も上回っているが、力強い消費の回復という状況にはないのではないか」と述べ、引き続き売り上げや客数の動向を注視していく考えを示しました。