セブン&アイHD イトーヨーカ堂などスーパー事業の上場 検討へ

流通大手のセブン&アイ・ホールディングスは、業績の不振が続くイトーヨーカ堂など傘下のスーパー事業について、2027年以降に株式を上場する方向で検討を進めることを明らかにしました。食品開発での協業は維持しつつ、主力のコンビニ事業と経営を分離させるとしています。

発表によりますと、セブン&アイ・ホールディングスは、子会社のイトーヨーカ堂など傘下のスーパー事業について、2027年以降に株式を上場する方向で検討を進めるということです。

上場にあたっては、スーパー事業を傘下に持つ中間の持ち株会社を新たに設立し、セブン&アイが一定の株式を引き続き保有し、食品開発での協業は維持するとしています。

そのうえで、株式の上場を通じて、経営資源の集中を進めている主力のコンビニ事業と経営を分離させるとしています。

グループの祖業であるイトーヨーカ堂をめぐっては、10日に発表されたことし2月までの1年間の決算で、4年連続の最終赤字となるなど厳しい業績が続いています。

このため、
▽店舗数を削減し、北海道や東北などから撤退して首都圏に集中するほか
▽自社で運営するアパレル事業をやめるなど、
業績の立て直しに向けた構造改革を進めています。

セブン&アイは「抜本的な変革の先にあるスーパー事業の持続的な成長のため、有力な選択肢の一つとして、最速のタイミングでの上場の実現に向けた検討を始めることにした」としています。

井阪社長「よりコンビニ事業にフォーカスする構造に」

セブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長は決算発表の記者会見で傘下のスーパー事業の上場を検討する狙いについて、「スーパー事業は独自の財務規律のもとで成長戦略を強化する体制への移行が果たせ、よりコンビニ事業にフォーカスする構造になる」と述べました。

また、「どれぐらいの比率で株を持つことがシナジーの創出に必要か検討している。連結にはこだわらないが、グループからの離脱は考えていない」と述べ、スーパー事業を傘下に持つ中間の持ち株会社への出資割合が50%以下となる可能性があるという考えを示しました。

ファミリーマート 細見社長「各社がさまざまな可能性を模索」

コンビニ最大手を抱えるセブン&アイ・ホールディングスが傘下のスーパー事業の株式上場を検討し、主力のコンビニ事業に経営資源を集中させる戦略を加速させることについて、コンビニ大手、ファミリーマートの細見研介社長は記者会見で「これから日本でも難しい戦いが激化していくので非常に怖い。どういう形態のコンビニが世の中に合っていくのか、各社がさまざまな可能性を模索していくことになるだろう」と述べました。