韓国総選挙 “革新系野党が過半数獲得の見通し” 公共放送KBS

韓国で10日、国会議員を選ぶ4年に1度の総選挙の投票が行われました。

公共放送KBSが報じた出口調査の結果では、革新系の野党 共に民主党が、系列の政党も含めて178議席から196議席と過半数を獲得し、保守系の与党 国民の力は、系列の政党も含めて87議席から105議席を獲得する見通しだとしています。
【後半に解説あります】

4年に1度行われる韓国の総選挙は、小選挙区と比例代表、合わせて300議席をめぐって争われ、10日午後6時まで投票が行われました。

公共放送KBSは、ほかの主要なテレビ局と合同で実施した出口調査の結果をもとに、各党の獲得予想議席を伝えました。

それによりますと、
▽革新系の野党 共に民主党が、系列の政党も含めて178議席から196議席と過半数を獲得する見通しだと報じています。

一方、ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領を支える、
▽保守系の与党 国民の力は、系列の政党も含めて87議席から105議席を獲得する見通しだとしています。

さらに、
▽前の政権で法相を務めたチョ・グク(※曹国)氏の新党が、比例代表で12議席から14議席を獲得する見通しだと伝えています。

韓国の選挙管理委員会によりますと、暫定投票率は67%で、前回4年前より0.8ポイント高くなり、通信社の連合ニュースは、1996年以降の総選挙で最も高い投票率になったと伝えています。

共に民主党が過半数を獲得した場合、ユン政権は選挙前と同様に、野党側の強い抵抗に直面して、国会の主導権を握れない事態が続くことが予想され、ユン政権にとって痛手となるのは避けられない形です。

開票作業は順次進められ、11日未明には大勢が判明する見通しです。

※「曹」は、「曹」の縦線が1本

【解説】

なぜ野党が優勢に?

Q 1か月前は与党が有利との見通しでしたが、なぜ、野党が優勢に転じたのでしょうか?

A 野党が掲げた「ユン・ソンニョル政権を審判する」というスローガンに同調する声が広がったのだろうと考えられます。
選挙戦では、野党で公認候補選びをめぐる対立が顕在化していたほか、政府が打ち出した医療改革では政権が反対する医療界に毅然とした姿勢をとったことが評価され、与党有利との見方が多くありました。
ところが、選挙が近づくにつれ、大統領府高官の発言などで批判の声が増えていったんです。
さらに、有権者が最も関心のある物価対策をめぐり、ユン大統領は先月、ソウル市内のスーパーを視察した際、政府の支援金などで特売となった長ネギを見て「合理的な価格だ」と発言しました。これが「物価高の実態を全く理解していない」などと野党から批判されました。野党の候補たちが長ネギを手にして政権批判を展開したことも与党劣勢に影響したとみられます。

日韓関係に影響は?

Q ユン政権発足から日韓関係は改善に向かっていましたが、今回の選挙結果は外交に影響はあるのでしょうか?

A 結論から言うと、対日外交の方針に影響はないと考えられます。
そもそも外交は行政の長である大統領が主導するものです。それにユン大統領は就任当初から日本との関係改善に並々ならぬ意欲を持っています。その信念の強さは大統領府や与党関係者からも繰り返し聞いてきました。
ただ、今回優勢となった野党は選挙戦でも一部の与党候補を「親日派」などと決めつけて非難するなどしていて、国会を舞台に日本批判が強まることも懸念されます。
中間評価で厳しい点数をつけられたユン政権は公約実現が引き続き困難になり、求心力の低下は避けられないだろうとみられます。