EU 風力発電の中国企業調査へ “欧州市場で競争ゆがめている”

EU=ヨーロッパ連合は、中国製のEV=電気自動車が国からの補助金で価格を抑え、ヨーロッパ市場での競争をゆがめているとみて、調査を進めていますが、域内で風力発電に関わる中国企業に対しても調査に乗り出すと明らかにしました。

EUの執行機関、ヨーロッパ委員会は、中国製のEVが国からの補助金で価格を抑え、ヨーロッパ市場での競争をゆがめているとみて、去年10月、調査を始めたと発表しました。

ヨーロッパ委員会のベステアー上級副委員長は9日、訪問先のアメリカで講演し、中国による再生可能エネルギー分野などでの過剰生産の問題をめぐって、「経済安全保障の点からも危険だ」と述べ、強い警戒感を示しました。

その上で「中国の風力発電用タービンの供給業者に対して新たに調査を行う」と述べ、スペインやギリシャなどで風力発電に関わる中国企業に対しても調査に乗り出すと明らかにしました。

ヨーロッパ委員会はNHKの取材に対して、域内で活動する風力発電関連の中国企業のなかには、国からの補助金で競合他社より優位に立ち、競争をゆがめている可能性があるとしています。

中国側は去年10月、EUが中国製のEVに対して調査を始めたと発表した際、「主観的な臆測に基づいて調査を開始した。強い不満を表明する」と強く反発しています。

中国 「差別的な措置を強く懸念」

EU=ヨーロッパ連合が域内で風力発電に関わる中国企業に対し調査に乗り出すことについて中国外務省の毛寧報道官は10日の記者会見で「EU側の中国企業に対する差別的な措置を強く懸念している。中国の関連製品の輸出は気候変動対策に重要な貢献をしている」と主張しました。

その上で「われわれはEU側に対しWTO=世界貿易機関の規則と市場の原則を順守するよう促すとともに、中国企業の合法的な権益を断固として守っていく」と反発しました。