輪島市 避難所運営の課題を話し合う初めての会議 開かれる

能登半島地震の発生から3か月余りがたちましたが、石川県では今も3300人余りが避難所で生活しています。輪島市では、仮設住宅の建設も進む中で、避難所にとどまらざるをえない人たちをどのように支援していくか、避難所運営の課題を話し合う会議が開かれました。

この会議は、石川県輪島市が初めて開き、市内15か所の避難所の運営責任者などと市の担当者らが出席しました。

冒頭で、市の担当者は「4月、5月と仮設住宅が開設され、多くの方が避難所を出ることが見込まれるが、そのあとも避難所は必要となる。ある程度、避難者の方に避難所の自主運営にもご協力いただきたいが場所によって事情も違うので、この会議を通して議論をしていただきたい」と説明しました。

このあと会議は非公開で行われましたが、市によりますと9日は住民側から、仮設住宅の建設や水道の復旧など生活の再建に向けた見通しを示すよう求められたということです。

輪島市教育委員会生涯学習課の平谷健一課長は「今後、避難所の生活環境についてもう少し掘り下げて議論していきたい」と話していました。

参加者の1人で、避難所の運営責任者を務める古谷裕さんは「これまでは全体で意見交換できる機会がなかったのでよかったです。どこに仮設住宅が何棟できるかといった情報は避難生活の活力になる」と話していました。

この会議は今後、毎週開かれ、避難所運営の課題の整理や対策の検討が進められるということです。

石川県内の避難所の状況は

能登半島地震で石川県内では一時、最大で371か所の1次避難所に3万3500人余りが避難しました。

2次避難や仮設住宅への入居などで避難所にいる人の数は徐々に減り、地震から3か月余りがたった現在は142か所で、3300人余りとなっています。

このうち、輪島市では最大で154か所、およそ1万2900人だったのが9日の時点で49か所、1364人。

珠洲市では最大で93か所、7668人だったのが、9日の時点で35か所、894人となっています。

今も避難所に残っている人の中には、仮設住宅への入居を待つ人や、自宅の修理に時間がかかる人など生活再建の先行きを見通せない人が多い一方、先月末で避難所の運営をサポートする職員の派遣がなくなった自治体もあり、継続的な支援が課題となっています。

避難所支援の先細り懸念する声も

こうした中、支援の先細りを懸念する声が出ています。

石川県珠洲市飯田町にある避難所では、今も1歳から90代までのおよそ60人が避難生活を送っていて、人数は避難所の開設当時とほとんど変わっていません。

多くは仮設住宅に入れない人たちで、ほかにも、水道の復旧の遅れから避難所での暮らしを続けている人もいます。

しかし、先月までほぼ毎日あったボランティアによる炊き出しの支援は4月になってほとんどなくなったということで、避難所にあるカップめんやパックごはんなどの支援物資でしのいでいます。

また、市によりますと、先月までは避難所の運営支援にあたる県外の自治体職員も派遣されていましたが、現在はいないということです。

避難所で生活する30代の電気工の男性は「仮設住宅にも入れず行くところがありません。物資などの支援がないと生活ができないので、できるだけ支援を減らさないでほしい」と話していました。

一方、輪島市門前町の避難所ではおよそ50人が生活していますが、先月末、近くに仮設住宅が完成し今後、入居が始まります。

この避難所では、ボランティアだけでなく、避難している人たちも運営に関わっているため、仮設住宅への入居が進めば、避難所の運営が危うくなると懸念されています。

輪島市門前町の避難所で生活しながら、運営にも関わっている柴田寿美香さんは「私自身も今後、仮設住宅に入居し仕事が再開すれば、避難所での活動が中途半端になってしまうので今後どうなるのか心配しています。自分で買い物に行けない高齢者などが多く、炊き出しを必要としている人たちはいるので、これからも支援を継続していただけるとありがたいです」と話していました。