トランプ氏 人工妊娠中絶規制は “全米一律ではなく各州判断”

アメリカのトランプ前大統領は秋の大統領選挙の争点のひとつとなっている人工妊娠中絶の規制について、保守派の一部が求める全米一律の規制ではなく、各州が判断すべきという考えを示しました。

アメリカではおととし連邦最高裁判所が、人工妊娠中絶は憲法で認められた権利だとしたおよそ50年前の司法判断を覆しその後、共和党の知事の州を中心に中絶を厳しく規制する動きが相次いでいます。

保守派の一部が全米一律で中絶を規制するよう求めている一方で、中絶を選択する権利は認められるべきだという意見もあり、11月の大統領選挙に向けて争点の一つとなっています。

大統領選挙で返り咲きを目指す共和党のトランプ前大統領は8日、中絶の規制について自身のSNSにビデオ声明を投稿し「各州が投票か立法、またはその両方によって決定するものだというのが私の考えだ」と述べて全米一律ではなく、各州が判断すべきという考えを示しました。

また、トランプ氏は母体に危険がある場合などは例外として中絶を容認する姿勢も示しました。

トランプ氏は無党派層などの支持の取り込みも見据え、厳しい規制を求める主張からは距離を置いたものとみられます。

一方、民主党のバイデン大統領は声明を発表し「トランプ氏が選挙に勝利し、議会の共和党が中絶禁止法案を提出すれば法案に署名するだろう。幻想を抱いてはならない」と主張しました。