“子どもに「rTMS」治療法の実施は不適切” 専門の学会が声明

18歳以上のうつ病患者を対象に公的な保険が適用されている「rTMS」という頭部を磁気で刺激する治療法について、専門の学会は、一部の医療機関が発達障害に有効だとして、子どもに対しても実施しているとして、子どもへの有効性と安全性は確かめられておらず実施は不適切だとする声明を発表しました。

「rTMS」は、専用の医療機器で頭部に繰り返し磁気的な刺激を与えて脳の特定の活動を変化させる治療法で、薬による治療で十分な効果が認められない18歳以上のうつ病患者に対して公的な保険が適用されています。

この治療法について、子どもの精神医学の専門家などで作る「日本児童青年精神医学会」は声明を発表し、一部の医療機関が「発達障害に有効」だとして、18歳未満の子どもに対しても保険が適用されない「自由診療」で実施しているとして、「子どもに対する有効性と安全性のエビデンスは不十分であり、発達障害などに、この治療法を実施することは適切ではない」という見解を示しました。

声明では、この治療法は別の専門学会の指針で、18歳未満には実施すべきではないと明記されているとしたうえで、「まれに、けいれん発作が起きることもあり、決して副作用のない治療法ではない」と指摘しています。

そして臨床試験で安全性などを確認しないまま、子どもに対して実施することは「非倫理的で危険性を伴う」としました。

学会の岡田俊代表理事は「安全性や効果が十分に確認されていない治療法に、子どもをゆだねることは危険にさらすことにもなる。まずは、効果と安全性を検証することが大事だ」と話しています。