ドジャース 山本由伸が初勝利「本当にうれしい」 大谷は2安打

大リーグ、ドジャースの山本由伸投手は6日、カブスとの試合に先発し、5回を無失点に抑えてドジャースに移籍後、3試合目の登板で大リーグ初勝利をあげました。

山本由伸 カーブを効果的に使い 大リーグ初勝利

山本投手は6日、相手本拠地シカゴで行われたカブスとの3連戦の2戦目に中6日で先発のマウンドに上がりました。

山本投手は1回、ヒット2本とフォアボールでいきなりノーアウト満塁のピンチを招いたものの、後続のバッターに対して、キレのある変化球と150キロ台後半の速球で3者連続で三振を奪い無失点で切り抜けました。

続く2回も2アウト満塁となりましたが、このピンチはカーブを効果的に使い見逃しの三振を奪ってしのぎました。

打線は両チーム無得点で迎えた5回、1アウト一塁から大谷翔平選手がインコースのボールに詰まりながらもレフト前に運び、この試合2本目のヒットでチャンスを広げると、ここから3点を奪いました。

リードをもらった山本投手は、3回以降はいずれも打者3人ずつで抑えて5回まで無失点でマウンドを降りました。

球数は80球、打たれたヒットは3本、フォアボールが2つ、三振を8つ奪いました。

このあと、ドジャースは8回に貴重な追加点をあげて4対1で勝ち、山本投手が大リーグ初勝利をあげました。

大谷翔平 4打数2安打 3試合連続の複数安打

この試合、2番・指名打者で先発出場した大谷選手は、1回の第1打席がライト前ヒット、3回の第2打席はセンターフライ、5回の第3打席はレフト前ヒット、7回の第4打席がフォアボール、9回の第5打席は三振でした。

大谷選手は4打数2安打、フォアボールが1つで3試合連続で複数安打をマークし、打率を3割4厘としています。

鈴木誠也 連続試合安打「5」でストップ

一方、敗れたカブスの鈴木誠也選手は、2番・ライトで先発出場しましたが、大リーグで初めての直接対決となった山本投手に三振を奪われるなど、3打数ノーヒット、フォアボールが1つで連続試合ヒットが「5」で止まりました。

7日はカブスの今永昇太投手が先発する予定で、大谷選手との初対決に注目が集まります。

山本由伸「無事に初勝利 本当にうれしい」

大リーグで初勝利をあげた山本由伸投手は、試合後、現地放送局のインタビューに応じ「前回に続いて今回もいいピッチングができて無事に初勝利することができたので、本当にうれしい。1回は、コーナーをねらい過ぎてランナーをためてしまったが、ピンチになってからは、しっかりと思い切ってストライクゾーンに投げることができたのでなんとか防げた」とほっとした様子で話していました。
大リーグ初対決となったカブスの鈴木選手にヒットを許さなかったことについては「結果的にたまたま打ち取ることができたのでよかったです」と率直な感想を話しました。
7日に登板予定のカブスの今永投手と大谷選手が初対決することについては「すごく楽しみ。僕は登板がないのでしっかり翔平さんの応援をしてどでかいホームランを打ってほしいなと思う」と笑顔で話していました。

ビールかけられ初勝利 祝福

大リーグでは、初勝利を挙げたピッチャーがかごに乗せられて、チームメートからビールをかけられる祝福を受けることが恒例になっています。

山本投手は、ヒーローインタビューを受けた後に報道陣の取材に応じる予定でしたが、球団の広報から呼び出されてロッカールームに入っていきました。

そして、荷物用のかごに入れられてシャワールームに連れて行かれ、チームメートからビールなどをかけられたということです。

その後取材に応じた山本投手は「うわさには聞いていたが、なにが起こっているかわからなかった。『目を閉じろ』と言われてあっという間だった。なんの味かわからないが、ビールだけじゃなかった」と笑顔で話していました。

大谷選手からは「ナイスピッチング」と言われたということで、ロッカールームではビールかけの祝福について「どうだった?」と笑顔で声をかけられていました。

【解説】“ヨーヨーカーブ” トップレベルと評価

この試合で山本投手が決め球の1つとして投げたカーブは、アメリカで“ヨーヨーカーブ”と紹介され、大リーグの中でもトップレベルの変化球だと評価されています。

データ分析を専門とする大リーグ機構のアナリスト、デビッド・アドラー氏が5日、大リーグの公式サイトに投稿した記事で詳しく分析していて、今シーズン10球以上カーブを投げたピッチャーの平均に比べて19センチ以上の落差があることや、縦だけではなく横方向の変化もあり、多次元的な変化球だとしています。

その上で、チームメートでカーブの名手として知られるカーショー投手と比較し「ストライクゾーンに虹をかけるだけではなく、ブーメランのようだ。バッターを固まらせることも空振りを奪うこともできる。指標的にも、視覚的にもエリートだ」と高く評価し、投球時の指の使い方がヨーヨーと似ているとして“ヨーヨーカーブ”と紹介しています。

この日の登板でも山本投手が投げた80球のうちカーブは28球と35%を占め、昨シーズン26本のホームランを打った4番のモレル選手や、3番のベリンジャー選手といったカブスの主力から三振を奪うなど、8つの三振のうちの4つをカーブで奪いました。

ベリンジャー選手は山本投手のカーブについて「ストレートとのコンビネーションがすばらしい」と話し、5番に入ったスワンソン選手も「カーブがとてもよく、アジャストするには数打席立つ必要がある」と話していました。

ロバーツ監督 “当面は中6日で登板”

山本投手は、先月30日の前回登板から中6日での登板となりました。

ロバーツ監督は、プロ野球の先発ピッチャーの登板が週に1度となることが多いことなどを念頭に「登板間隔を狭めるという橋は渡れるようになってから渡ろうと思っている。今はまだ彼が先発としてどのようにプレーし、どうリカバリーしていくのか観察していく」と話していて、当面は中6日での登板を続ける方針を示しています。

先発ローテーションのほかの4人に加えて、中継ぎ陣による継投で試合を投げ抜く「ブルペンデー」で日程を調整していくと見られていて、山本投手にとってはしばらくの間、慣れ親しんだ登板間隔でシーズンを戦うことが出来ることになります。

日本人のファン「“ジャパンデー”のような感じ」

日本選手があわせて4人所属するドジャースとカブスの対戦には、日本人のファンも多く訪れています。

大谷選手のユニフォームを着た男性は「“ジャパンデー”のような感じです。シカゴに住んでいますが、大谷選手を見られるのは1年でここだけなので、ユニフォームを買って備えてきました」と楽しみにしている様子でした。

また、カナダから訪れたという鈴木選手の広島時代のユニフォームを着た女性は「広島出身で、鈴木選手をずっと応援してきました。ホームランを期待しています」と話していました。

一緒に訪れた男性は「山本投手が先発なので、日本選手どうしの対決を楽しみにしています」と話していました。