イスラエルとハマス 戦闘開始から半年 犠牲者は3万3000人超に

イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が始まってから7日で半年となりイスラエル軍の攻撃が続くガザ地区での死者は3万3000人を超え、人道状況も深刻化しています。

戦闘休止に向けた交渉をめぐり双方の立場の隔たりは依然として大きく、国際社会が働きかけを強め合意の糸口を見いだせるかが焦点です。

去年10月にガザ地区を実効支配するハマスによる越境攻撃でイスラエル側でおよそ1200人が死亡し、これに報復する形でイスラエル軍が軍事作戦を開始してから7日で半年となります。ガザ地区では連日、イスラエル軍による空爆などが続き、ガザ地区の保健当局はこれまでに3万3137人が死亡したとしています。

また、ガザ地区では飢きんが迫っていると国連機関などが指摘していて、人道状況も深刻化しています。

戦闘の休止と人質の解放に向けた交渉をめぐりハマスは6日の声明で代表団が7日にエジプトを訪れると明らかにし、アメリカのニュースサイト「アクシオス」もエジプトでイスラエルやアメリカ、仲介国による協議が行われるとの見通しを伝えています。

ただ、ハマスが停戦を求めているのに対し、イスラエルはハマスの壊滅が必要だとして南部ラファへの地上作戦を行う構えを示すなど双方の立場の隔たりは依然として大きく、アメリカなど国際社会が働きかけを強め合意の糸口を見いだせるかが焦点です。

イスラエル ネタニヤフ首相への批判強まる

イスラエルではいまだに130人以上の人質の解放を実現できておらず、ガザ地区での戦闘も長期化させているなどとして、ネタニヤフ首相への批判が強まっています。

6日夜にはイスラエル各地で人質解放に向けたハマスとの合意の実現やネタニヤフ首相の辞任を求めて、大規模なデモが行われ、このうちテルアビブでは数千人が集まりました。

デモに参加していた男性は「ネタニヤフ首相は政治的な理由のために人質の命をもてあそんでいる。合意を受け入れ、人質の解放を一刻も早く実現しないといけない」と訴えていました。

別の男性は「ネタニヤフ首相はガザ地区での軍事作戦の出口戦略も持たずに戦争を長期化させている」と批判していました。

専門家「ネタニヤフ首相 戦闘続けるしかない状況」

この半年間ガザ地区で続いてきた戦闘について、イスラエル・パレスチナ情勢に詳しい東京大学中東地域研究センターの鈴木啓之特任准教授は、「ここまで長く続くとは正直なところ思っていなかった」と振り返ったうえで、戦闘が長引く原因について「ネタニヤフ首相は人質の解放とハマスの壊滅を掲げて半年間戦闘を行ってきたが、人質の解放が実現しないことの責任を問う世論も広がり、最終的な成果をめぐって非常に苦しい政治判断を迫られている。戦闘の目標が達成されない以上、戦闘を続けるしかないという状況になっている」と分析しました。

さらに「イスラエルの国内でも戦闘を継続すべきだという声が根強く、戦闘をやめようという声は世論の主流になっていない」として、戦闘の終結が見通せないなかイスラエルが今後、南部ラファへの地上作戦にも踏み切る可能性が高いという見方を示しました。

「戦闘止められない国際社会 ガザの人々に深い失望」

一方でガザ地区の深刻な人道状況については「住宅や病院などがほとんど区別されない形で攻撃を受け、過去の戦闘とは桁違いの被害が出ている。封鎖による飢餓状態もあり、多くの人々が亡くなっているが、被害状況を正確に把握すらできていない」と強い懸念を示しました。

そのうえで「これほどの被害が出ても国際社会がイスラエルを止められなかったことはガザの人々に深い失望をもたらした」として日本を含む国際社会の責任を指摘しました。