日銀 景気判断 全国7つの地域で引き下げ 地域経済報告

日銀は3か月に1度の「地域経済報告」を公表し、自動車の生産停止などの影響で全国9つの地域のうち7つの地域で景気判断を引き下げました。

日銀は4日、植田総裁と全国32の支店長らが出席する支店長会議を開き、「地域経済報告=さくらレポート」を公表しました。

それによりますと、全国9つの地域のうち、北海道、四国で景気判断を据え置いた一方、東北、北陸、関東甲信越、東海、近畿、中国、九州・沖縄の7つの地域で景気判断を引き下げました。

これは、国の認証取得の不正問題でダイハツ工業などが車の生産を停止したことで部品メーカーなどにも幅広く影響が出たことや、暖冬の影響で衣料品や家電の販売が振るわなかったことが理由だとしています。

4日の支店長会議では焦点となっている賃金の動向について、賃上げの動きが広がっているとの報告があった一方、深刻化する人手不足による事業への悪影響なども報告されたということです。

日銀は先月、物価も賃金も上がる経済の道筋が見通せてきたとして、金融緩和策の転換に踏み切りましたが、地方も含めて経済の好循環が実現していくかが焦点となります。

日銀大阪支店長「人材確保への危機感はより強くなっている」

日銀大阪支店の中島健至支店長は、支店長会議のあとの記者会見で、企業の人手不足について、「人材確保への危機感はより強くなっている。企業へのヒアリングで課題は何かと聞くと真っ先に出てくるのが人材の確保で、企業の規模を問わず非常に難しくなっていて深刻な課題だと感じている」と述べました。

そのうえで中島支店長は「今の段階で極端に無理に賃上げをしているとは感じてはいないが、中小企業や零細企業の間でも人材獲得の競争に勝つために利益を削る企業もあると思う」と述べました。