東京 建設中のタワマン コンクリート検査で強度不足 販売休止

東京 中央区の湾岸部で建設中の2棟のタワーマンションについて、施工業者が工事で使われるコンクリートを検査した結果、一部に強度が不足するサンプルがあったことが分かりました。このマンションは今月下旬から販売される予定でしたが、いったん休止され、施工業者などがさらに詳しく調べることにしています。

販売が休止されるのは、東京 中央区豊海で建設が進む高さ189メートル、地上53階建ての2棟のタワーマンションです。

このマンションは、湾岸部の老朽化した集合住宅を建て替える再開発事業として去年1月に着工され、2026年の完成を目指して工事が進められていました。

しかし、設計と施工を担当する清水建設がコンクリートの強度を調べるサンプル検査を行ったところ、一部が基準の数値に達していなかったことが分かったということです。

清水建設は「原因究明と対応策について、関係者と検討協議を進める」とコメントするとともに、検査の結果をさらに詳しく調べることにしています。

一方、マンションを販売する三井不動産レジデンシャルは、今月下旬に予定していた販売をいったん休止しました。再開の時期は未定だとしています。

現場の再開発事業とは

中央区によりますと、この2棟のタワーマンションが建てられる場所には、もともと市場関係者などが多く住む集合住宅のほか、警察署や区民館などの建物がありましたが、老朽化が課題になっていたということです。

再開発事業では、湾岸部の広さおよそ2ヘクタールの敷地に、地上53階建ての2棟のタワーマンションにより、合わせて2046戸が供給される計画で、低層階には、店舗や保育所のほか、区民の集会所などを設けることになっています。

専門家「適切なプロセスがなされず 通常は起こらない」

今回、検査で一部のコンクリートのサンプルが強度不足だったことが明らかになったことについて、建築工学が専門の東京大学の神田順 名誉教授は、「コンクリートの場合、液体状の生コンの段階で事前にチェックはするが、現場で固めるまで正確な強度は分からない。通常の検査は、流し込む時に、サンプルを取って圧力をかけて調べる」としたうえで、「設計の段階で、どの程度セメントを入れるかを考え、余裕を持って強度を決めるので強度検査は確認をするだけというのが通常だ。今回のように所定の強度に達しなかったというのは、原因はまだ分からないが、どこかで適切なプロセスがなされていなかったということで、通常は起こらないことだ」と指摘しました。

そのうえで、「本当に強度が不足しているという判断になれば、すでにコンクリートを入れた部分は一度取り壊すしかなく、計画どおりに施工するのは難しくなる」と話していました。