台湾東部の地震 SNSで誤情報や偽情報広がる 「インプ稼ぎ」も

3日午前起きた台湾東部を震源とする地震で、SNSでは能登半島地震などこれまでの災害の動画を今回のものだとする誤った情報や偽情報が広がっており、こうした情報を収益を得る目的で投稿する「インプ稼ぎ」も多く見られています。安易に拡散しないよう注意が必要です。

“安易に拡散しないで”

3日午前の地震発生直後から、旧ツイッターのXでは台湾の被害を伝えたり、高い場所に避難するよう訴えたりする投稿が多く広がった一方、誤った情報や偽情報も多く投稿されました。

中には、能登半島地震の際に確認された津波の様子や、2年前に台湾で起きた地震の際、地面が揺れる様子を撮影した動画を今回の地震によるものだとする投稿もあり、3日午後5時時点で閲覧回数が170万回以上に上るものもありました。

また、空港で海上保安庁の航空機を写した写真とともに「お偉いさん達はプライベートジェットで緊急避難か」などと書き込んだ誤った情報の投稿は70万回以上閲覧されたほか、地震の原因が「人工地震」や「地震兵器」であるなどとする科学的根拠のない偽情報も出ています。

さらに、収益を得る目的で閲覧数=インプレッションを稼ぐ「インプ稼ぎ」や、「インプレゾンビ」と呼ばれる海外のアカウントがこうした誤った情報や偽情報を投稿するケースも多く見られます。

災害時は特に政府や自治体などの公共機関や報道機関の情報を確認するなどして、不確かな情報を安易に拡散しないよう注意が必要です。

専門家「自然の地震そのものだ」

旧ツイッター・Xなどでは「人工地震」だとする根拠のない情報が投稿されていますが、地震の専門家は「自然の地震そのものだ」と否定しています。

地震のメカニズムに詳しい京都大学防災研究所の西村卓也教授は「今回の地震が人工地震だと考えられる兆候は一切ない。台湾の気象当局が公開している地震波のデータを見たが自然の地震そのものだ。震源の深さも、20キロから30キロと機関によって数字は異なるが、いずれにしても人間では掘ることのできない深さだ」と指摘しました。

投稿の中には、地震波のデータを示しながら「人工地震」だと主張しているものもありますが、西村教授は「人工地震の根拠として示されているグラフは、地震の発生から数十分間のデータを見ているため突然、大きな揺れが始まっているようにも見えるが、地震直後の数分間に限ったデータを詳しく見ると小さな揺れが始まってから大きな揺れが来ていることが分かり、一般的な自然の地震と何ら変わらない」と指摘しました。

また、南海トラフ巨大地震への影響を心配する投稿が相次いでいることについては「『同じプレートで起きているので南海トラフにも影響する』という投稿もあるが、地震の影響は距離が離れると大幅に減少することが知られている。今回の地震の震源と南海トラフは1000キロ以上離れているので、全く関係ないと言ってよい」と話していました。