米 ロシア側にテロ標的のコンサートホール名も伝達か 米有力紙

ロシアの首都モスクワ郊外で先月起きたテロ事件で、アメリカ政府が実際に標的となったコンサートホールの名前を具体的に挙げて、テロのおそれがあるとロシア側に事前に伝達していたと、アメリカの複数の有力紙が伝えました。

モスクワ郊外のコンサートホールで先月22日に起きたテロ事件では、これまでに144人が死亡、551人がけがをしました。

アメリカの有力紙、ワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズは2日、複数のアメリカ政府当局者の話として、アメリカ政府が実際に標的となったコンサートホールの名前を具体的に挙げて、テロのおそれがあるとロシア側に事前に伝達していたと伝えました。

アメリカ政府はこれまで「コンサートなどが標的となる可能性のあるテロ計画に関する情報をロシアに伝えた」としていますが、詳細については明らかにしていません。

この事件では、これまでに実行犯として中央アジアのタジキスタン出身の4人が起訴され、過激派組織IS=イスラミックステートとつながりのある「アマーク通信」は、ISの戦闘員による犯行だと伝えています。

プーチン政権はウクライナが事件に関与した疑いがあると主張しているのに対し、ウクライナ国防省はロシアはテロ計画の情報を入手していたにもかかわらず、テロを防がずウクライナ側に責任を負わせようとしているとして、強く反発しています

ロシア大統領府 報道官「権限の範ちゅうでない」

ロシア大統領府のペスコフ報道官は3日、記者団に対し「こうした情報の交換は治安機関のチャンネルで行われるため、大統領府の権限の範ちゅうではない」と述べました。