【3日】NGOスタッフ死亡 ネタニヤフ首相「再発防止に全力」

イスラエル軍による攻撃で国際的なNGOのスタッフ7人が死亡した事態を受けて、ガザ地区で支援活動にあたる国連機関の日本人職員はNHKの取材に対し「ショックと憤りが強い」と衝撃を語るとともに、現地の人道状況は限界を超えているとして一刻も早い停戦の実現を訴えました。

ガザ地区では支援活動を行っていた国際的なNGO「ワールド・セントラル・キッチン」のスタッフ7人がイスラエル軍による攻撃で死亡し、ネタニヤフ首相は2日軍による攻撃だと認めたうえで、意図的ではないとして再発防止に努めるとしています。

上川外相 NGOスタッフ死亡“深く憂慮” イスラエル外相に

上川外務大臣は3日夜、イスラエルのカッツ外相と電話で会談し、会談で上川大臣は、停止していたUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関への資金拠出を再開することを伝えました。

また、パレスチナのガザ地区で支援活動を行っていた国際的なNGOのスタッフ7人が今月2日、イスラエル軍による攻撃で死亡したことについて「深く憂慮しており、しかるべき調査がなされ、再発防止策が講じられることを求める」と述べました。

そして、人道的停戦の速やかな実現に向けた行動をとるよう重ねて求めました。

カッツ外相からは、ガザ地区の情勢について、イスラエルの立場に基づく説明があったということです。

両氏は、地域の安定のため、引き続き、意思疎通を続けていくことで一致しました。

UNRWA日本人職員 「ショックと憤りが強い」

イスラエル軍による攻撃で国際的なNGOのスタッフ7人が死亡した事態を受けて、ガザ地区南部ラファを訪れているUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関の清田明宏保健局長は2日、NHKのオンライン取材に応じ、「支援団体や国連機関は戦闘地域に近いエリアではイスラエル側の許可を得て移動している。起こってはならないことが起きた。ショックと憤りが強い」と述べ、援助関係者に衝撃が広がっていると話しました。

また現地の状況については、「避難所では800人にトイレが1つ、3000人にシャワーが1つという非常に厳しい環境だ。衛生状態も悪く、肝炎や下痢、呼吸器疾患になる人が増え非常に懸念している」と話したほか、子ども用の抗生物質など医薬品の不足も深刻だと訴えました。

そのうえで、「住民の生活や医療側の対応、食料不足などすべて限界を超えている。早く停戦をして状況を改善するべきだ」と述べ、一刻も早い人道的な停戦の実現を訴えました。

イスラエル首相府 仲介国側と協議終え ハマスに提示する案を策定

イスラエル首相府は2日、戦闘休止と人質の解放のための交渉について、イスラエルと仲介国側がエジプトでの協議を終え、ハマスに提示する案を策定したと明らかにしました。

今後、仲介国側がハマスと協議をすると見られますが、完全な停戦などをめぐって双方の立場の隔たりが依然として大きい中で、合意の糸口が見いだせるかが焦点となります。

NGOスタッフ7人死亡 イスラエル軍の攻撃で

国際的なNGO「ワールド・セントラル・キッチン」は2日、ガザ地区で支援活動を行っていたオーストラリアやイギリスなど出身のスタッフ7人がイスラエル軍による攻撃で死亡したと明らかにしました。

このNGOは地中海の島国キプロスからガザ地区に支援物資を海上輸送していましたが、支援活動を一時中断したということで、深刻な食料不足が続くガザ地区の人道状況への影響も懸念されています。

ガザ地区では人道支援にあたる人々の犠牲が相次いでいて、パレスチナを担当する国連の人道調整官は2日、声明でパレスチナでは3月20日までに少なくとも196人の支援関係者が死亡したと明らかにしました。

そのうえで「イスラエル政府を含むすべての当事者は、人道支援にあたる人々を標的にすることを禁じた国際人道法を尊重しなければならない」と強調しました。

ネタニヤフ首相「再発防止に全力」攻撃でNGOスタッフ死亡受け

イスラエルのネタニヤフ首相はNGOのスタッフが死亡したことについて2日「不幸にもガザ地区でわれわれの部隊が意図せずに罪のない人々を攻撃する悲劇的な事案が起きた。各国政府と連絡を取り、再発防止に全力を尽くす」などと述べました。

ネタニヤフ首相としては政府として対応を徹底する姿勢を示すことで、国際社会からの非難を和らげたい思惑もあるとみられます。

バイデン大統領「激しい憤りを感じ 心を痛めている」

ガザ地区などで食料支援活動を行ってきた国際的なNGO「ワールド・セントラル・キッチン」のスタッフ7人がイスラエル軍による攻撃で死亡したことについて、アメリカのバイデン大統領は2日声明を発表し、「激しい憤りを感じ、心を痛めている。彼らの死は悲劇だ」としてイスラエルに対して原因を速やかに調査し、結果を公表するよう求めました。

そして「今回の戦闘は多くの人道支援の関係者が犠牲になっているという点で最近の記憶のなかでも最悪なものの一つだ。イスラエルは支援の関係者を守るために十分なことをしてこなかった」としてイスラエルの対応を非難しました。

また「イスラエルは市民を守るためにも十分なことをしてこなかった」とも指摘し、人道支援の強化と、人質の解放につながる即時の停戦を求め続けると強調しました。

バイデン大統領は軍事作戦を続けるイスラエルに住民などを保護するよう繰り返し求めてきましたが、人道支援にあたる人々の犠牲が相次ぎ、住民の死者数も増え続ける事態にこれまでよりも非難を強めた形です。

米 ブリンケン国務長官 イスラエル政府に調査要求

アメリカのブリンケン国務長官は2日、訪問先のフランス・パリで行った記者会見で「人々をただ支援しようとしている人たちが重大な危険にさらされるようなことがあってはならない。今回の件についてイスラエル政府と直接、話をした。何が起きたのかを正確に把握するため、迅速かつ徹底的で公平な調査を行うよう求めた」と述べ、イスラエル政府に調査を求めたことを明らかにしました。

ガザ地区への人道支援については「イスラエル政府は措置を講じているが不十分だ。イスラエル政府には、人道支援を拡充し持続可能なものとし、ガザ地区に人道物資を届けるだけでなく、支援を必要としているすべての人に行き渡るようにすることが不可欠だと改めて伝えた」と述べました。

またホワイトハウスのカービー大統領補佐官は攻撃でNGOのスタッフが死亡したことについて、記者会見で「激しい怒りを感じる」と述べて非難しました。

仏 セジュルネ外相「イスラエルによる攻撃を強く非難」

フランスのセジュルネ外相は2日「イスラエルによる攻撃を強く非難する」と述べました。そして「人道支援に関わる人員の保護は誰もが守らなければならない道徳的かつ法的な義務だ」と述べたうえで、現地の一般市民の保護や、人道支援の拡大が必要だという認識を重ねて示しました。

「イラン大使館 イスラエルが攻撃か」国連安保理 緊急会合

1日、シリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館の領事部の建物がミサイル攻撃を受けて軍事精鋭部隊の幹部らが殺害され、イランはイスラエルによる攻撃だとして、報復する構えを見せています。

イランやロシアの要請を受け、2日午後、日本時間の3日午前4時すぎから、国連の安全保障理事会の緊急会合が開かれました。この中でロシアのネベンジャ国連大使は「イスラエルの攻撃は主権の侵害で容認できない。この無謀な行為を国際社会は糾弾しなければならない」と強く非難し、イランの国連次席大使もテロ攻撃だと非難したうえで「イランには断固とした対応をとる正当な権利がある」と述べ、対抗措置をとると主張しました。

これに対してイスラエルを擁護してきたアメリカのウッド国連次席大使は「攻撃を受けた建物が外交施設といえるのか確認できない」とした上で「イランとイランが支援する組織は地域の緊張を高めてはならない」と述べ、逆に地域の安定を脅かしているのはイランだと非難しました。

ガザ地区でイスラエルとイスラム組織ハマスとの戦闘が続き、イスラエルとハマスを支援するイランとの対立も深まる中、各国からは中東全域に緊張が広がることを懸念する意見が相次ぎ、日本の志野国連次席大使も「いま切実に求められているのは安定だ」と訴えました。

国連事務総長 イスラエルのイラン大使館攻撃を非難

国連のグテーレス事務総長は2日、報道官を通じて声明を出し、シリアでイランの大使館が攻撃されたことを非難しました。

そして、外交施設や領事施設の不可侵の原則は、国際法に従っていかなる場合にも尊重されなければならないと強調しました。

その上でグテーレス事務総長は、すべての関係者に対し、さらなるエスカレーションを避けるよう呼びかけました。

大使館攻撃でイラン最高指導者「この犯罪 後悔させる」

シリアの首都ダマスカスで1日、イラン大使館の領事部の建物が、イスラエルによるとみられるミサイル攻撃で破壊され、イランの国営メディアは、軍事精鋭部隊・革命防衛隊の司令官ら7人が殺害されたほか、シリア人の市民6人も死亡したと伝えています。

革命防衛隊とつながりのあるメディア「タスニム通信」は、殺害された司令官のザヘディ准将について、革命防衛隊の中でも主に国外での特殊任務にあたる「コッズ部隊」に所属し、シリアやレバノンでの作戦などに従事していたと伝えたほか、イスラエルメディアを引用する形で、以前からイスラエル政府が暗殺の標的にしていたと報じました。

今回の攻撃を受けて、イランの最高指導者ハメネイ師は2日、声明を出し「憎しみに満ちたイスラエルの政権による犯罪だ」と非難した上で「邪悪な政権は罰せられるだろう。われわれはこの犯罪を後悔させる」として報復を誓いました。

報復の応酬によって、中東情勢がさらに緊迫化することが懸念される中、イランがどのような対応を取るかが焦点となっています。

イスラエル 外国メディア規制法可決 アルジャジーラ停止を主張

イスラエルでは、外国メディアを一時的に閉鎖するなどの規制を可能にする法律が可決され、ネタニヤフ首相はイスラエルに批判的な報道をしてきた中東の衛星テレビ局アルジャジーラの国内からの放送を停止させると主張しています。

イスラエル議会は1日、政府が国家の安全を脅かしているとみなした外国メディアに対して、事務所の一時閉鎖や放送の停止などといった規制をすることができる法律を賛成多数で可決しました。これを受けてイスラエルのネタニヤフ首相は1日の声明で中東の衛星テレビ局アルジャジーラのイスラエル国内からの放送を直ちに停止させる考えを示しました。

アルジャジーラはイスラエル軍の攻撃が続くガザ地区の被害の様子について連日、現地から伝えていて、ネタニヤフ首相は以前から放送内容についての批判を強めていました。

これに対してアルジャジーラは2日「今回の措置は、ジャーナリストの殺害を含むアルジャジーラを沈黙させるためのイスラエルの攻撃の一部だ。このようなひぼう中傷に屈することなく、今後も大胆かつプロフェッショナルな報道を続ける」とする声明を出しました。

国際的なNPO、CPJ=ジャーナリスト保護委員会は「法律はイスラエル国内で活動するあらゆるメディアを閉鎖する権力を政府に与えることになる」として懸念を表明しました。