イラン大使館攻撃で国連安保理 緊急会合

中東のシリアにあるイランの大使館がイスラエルによるとみられる攻撃を受けたことを受けて、国連の安全保障理事会で緊急会合が開かれました。イランやロシアは、在外公館への攻撃は国際法違反だとしてイスラエルを厳しく非難しましたが、イスラエルを擁護してきたアメリカは逆に、地域の安定を脅かしているのはイランだと非難しました。

1日、シリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館の領事部の建物がミサイル攻撃を受けて軍事精鋭部隊の幹部らが殺害され、イランはイスラエルによる攻撃だとして、報復する構えを見せています。

安保理ではイランやロシアの要請を受け、2日午後、日本時間の3日朝4時すぎから、緊急会合が開かれました。

この中でロシアのネベンジャ国連大使は「イスラエルの攻撃は主権の侵害で容認できない。この無謀な行為を国際社会は糾弾しなければならない」と強く非難し、イランの国連次席大使もテロ攻撃だと非難したうえで「イランには断固とした対応をとる正当な権利がある」と述べ、対抗措置をとると主張しました。

これに対してイスラエルを擁護してきたアメリカのウッド国連次席大使は「攻撃を受けた建物が外交施設といえるのか確認できない」とした上で「イランとイランが支援する組織は地域の緊張を高めてはならない」と述べ、逆に地域の安定を脅かしているのはイランだと非難しました。

ガザ地区でイスラエルとイスラム組織ハマスとの戦闘が続き、イスラエルとハマスを支援するイランとの対立も深まる中、各国からは中東全域に緊張が広がることを懸念する意見が相次ぎ、日本の志野国連次席大使も「いま切実に求められているのは安定だ」と訴えました。

国連 グテーレス事務総長 大使館攻撃を非難する声明

国連のグテーレス事務総長は2日、報道官を通じて声明を出し、シリアでイランの大使館が攻撃されたことを非難しました。

そして、外交施設や領事施設の不可侵の原則は、国際法に従っていかなる場合にも尊重されなければならないと強調しました。

その上でグテーレス事務総長は、すべての関係者に対し、さらなるエスカレーションを避けるよう呼びかけました。

林官房長官「粘り強い外交努力を継続していく」

林官房長官は午後の記者会見で「現地の状況を重大な関心と懸念を持って注視している。日本はこれまでも事態の早期の沈静化や紛争の波及防止に向けて2国間での働きかけを行い、安全保障理事会やG7の一員としての外交努力を積み重ねてきた。引き続き、事態のさらなる悪化を防ぐべく粘り強い外交努力を継続していく」と述べました。