ネタニヤフ首相「再発防止に全力」攻撃でNGOスタッフ死亡受け

ガザ地区で支援活動を行っていた国際的なNGOのスタッフ7人がイスラエル軍による攻撃で死亡したことについて、ネタニヤフ首相は「再発防止に全力を尽くす」などと述べました。政府として対応を徹底する姿勢を示すことで、国際社会からの非難を和らげたい思惑もあるとみられます。

国際的なNGO「ワールド・セントラル・キッチン」は2日、ガザ地区で支援活動を行っていたオーストラリアやイギリスなど出身のスタッフ7人がイスラエル軍による攻撃で死亡したと明らかにしました。

このNGOは地中海の島国キプロスからガザ地区に支援物資を海上輸送していましたが、支援活動を一時中断したということで、深刻な食料不足が続くガザ地区の人道状況への影響も懸念されています。

ガザ地区では人道支援にあたる人々の犠牲が相次いでいて、パレスチナを担当する国連の人道調整官は2日、声明でパレスチナでは3月20日までに少なくとも196人の支援関係者が死亡したと明らかにしました。

そのうえで「イスラエル政府を含むすべての当事者は、人道支援にあたる人々を標的にすることを禁じた国際人道法を尊重しなければならない」と強調しました。

一方、イスラエルのネタニヤフ首相はNGOのスタッフが死亡したことについて2日「不幸にもガザ地区でわれわれの部隊が意図せずに罪のない人々を攻撃する悲劇的な事案が起きた。各国政府と連絡を取り、再発防止に全力を尽くす」などと述べました。

ネタニヤフ首相としては政府として対応を徹底する姿勢を示すことで、国際社会からの非難を和らげたい思惑もあるとみられます。

米 ブリンケン国務長官 イスラエル政府に調査要求

アメリカのブリンケン国務長官は2日、訪問先のフランス・パリで行った記者会見で「人々をただ支援しようとしている人たちが重大な危険にさらされるようなことがあってはならない。今回の件についてイスラエル政府と直接、話をした。何が起きたのかを正確に把握するため、迅速かつ徹底的で公平な調査を行うよう求めた」と述べ、イスラエル政府に調査を求めたことを明らかにしました。

また、ガザ地区への人道支援についてブリンケン長官は「イスラエル政府は措置を講じているが不十分だ。イスラエル政府には、人道支援を拡充し持続可能なものとし、ガザ地区に人道物資を届けるだけでなく、支援を必要としているすべての人に行き渡るようにすることが不可欠だと改めて伝えた」と述べました。

またホワイトハウスのカービー大統領補佐官は攻撃でNGOのスタッフが死亡したことについて、記者会見で「激しい怒りを感じる」と述べて非難しました。

仏 セジュルネ外相「イスラエルによる攻撃を強く非難」

ガザ地区で支援活動を行っていた国際的なNGOのスタッフ7人がイスラエル軍による攻撃で死亡したことについて、フランスのセジュルネ外相は2日「イスラエルによる攻撃を強く非難する」と述べました。

そして「人道支援に関わる人員の保護は誰もが守らなければならない道徳的かつ法的な義務だ」と述べたうえで、現地の一般市民の保護や、人道支援の拡大が必要だという認識を重ねて示しました。