2060年度までの財政試算 “歳出改革徹底 成長率引き上げ必要”

内閣府は、2060年度までの長期にわたる国と地方をあわせた財政の試算をまとめました。医療や介護の費用が膨らむ中、財政の安定に向けて、歳出改革の徹底や成長率の引き上げに集中して取り組む必要があるとしています。

2日に開かれた政府の経済財政諮問会議で内閣府が示した試算によりますと、2060年度には高齢化率が38%まで高まり、この間、医療や介護の費用は増加し続けると見込まれます。

これに対して経済成長率が物価の変動を除いた実質で、年率0.2%程度にとどまった場合は、医療や介護の歳出改革を行っても、財政の健全性を示す指標である「基礎的財政収支」は赤字が拡大していく見通しです。

一方、1.2%程度の成長率が続くケースでは、税収が伸びることから歳出改革を進めれば「基礎的財政収支」の黒字が見込まれます。

さらに、成長率が1.7%程度まで上昇すると国債などの発行残高の経済規模に対する比率も安定的に低下するとしています。

内閣府は財政の安定に向けて、歳出改革を徹底することや、女性や高齢者の労働参加や企業の生産性向上によって成長率が1%を上回るよう引き上げることが重要だとして、今後3年程度で集中して取り組む必要があるとしています。

岸田首相「財政健全化を着実に進めることが重要」

岸田総理大臣は経済財政諮問会議で「少子高齢化や人口減少のもとでも中長期的に持続可能な経済・財政・社会保障を構築するため、実質1%を上回る経済成長によって力強い経済を実現するとともに医療・介護給付費の改革に取り組み、財政健全化を着実に進めることが重要だ」と述べました。

そのうえで「人口減少が本格化する2030年までに持続可能な経済社会を軌道に乗せるため、今後3年程度で必要な制度改革を含め集中的な取り組みを進めていく。ことしの『骨太の方針』に向けて中期的な経済・財政の枠組みの検討を進めてほしい」と述べ、関係閣僚に具体策の検討を指示しました。

新藤経済再生相「2026年度以降も目標など検討」

新藤経済再生担当大臣は記者会見で、財政の健全性を示す指標の1つ「基礎的財政収支」の黒字化をめぐり「ことし1月の試算では、民需主導の高い経済成長のもと、歳出改革を継続していけば2025年度の黒字化が視野に入ると示されている。経済を立て直し、財政健全化に取り組むとの考え方のもと、これを念頭に努力を続ける」と述べました。

その上で「2026年度以降についても目標などを検討していく。今後『骨太の方針』に向けて中期的な経済対策の枠組みを具体化していきたい」と述べました。