被災した元教員の手書きの新聞 約3か月ぶりに復活 石川 穴水町

能登半島地震で大きな被害を受けた石川県穴水町で、被災した元教員が地域の情報を伝えようと発行してきた手書きの新聞が2日、およそ3か月ぶりに復活しました。

新聞を発行しているのは、穴水町に住む中学校の元教員、滝井元之さん(79)です。2日、およそ3か月ぶりに、能登半島地震の発生後初めて新聞を発行し、仮設住宅や地域の店などに配って回りました。

今回は「能登半島地震特別号」として、A4サイズの表裏1枚に写真とともに手書きの記事で、地元の中学校の卒業生がボランティアで炊き出しを行う様子や仮設住宅の建設状況などが掲載されています。

仮設住宅で受け取った1人暮らしの70代の男性は「知っている人と顔を合わせる機会がなく、地域の情報が分からないのでいい取り組みだと思います」と話していました。

滝井さんが新聞の発行を始めたのは、2007年に発生した能登半島地震がきっかけでした。当時、ボランティアとして被災者の生活相談にあたっていた滝井さんは、復興には人と人とのつながりが欠かせないと感じ、毎月1回、新聞を発行して地域の情報を広く伝えていく取り組みを始めました。

当初は、紙面にはあえて地震による被災状況は詳しく掲載せず、復興に向けた前向きな話題を中心に扱いました。最近では地域のイベント情報を主に掲載し、1号あたり500部を印刷して郵送するなどして届けていました。しかし、ことし1月の能登半島地震で、滝井さんの自宅は大きな被害を受け、新聞の印刷を依頼していた業者も被災しました。

そうした中で滝井さんは地域の様子を写真におさめたり、原稿を書いたりして準備を進め、自宅にある家庭用のプリンターで印刷するなどして3か月ぶりの発行につなげました。今回は、17年前の地震の記憶が薄れていると感じ、地震による教訓を記録しようと被災状況も掲載することにしました。

滝井さんは「亡くなった人もたくさんいる中で自分たちは生きているので前を向いて進んでいきたいです。新聞でその後押しができればと思います」と話していました。