【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(4月2日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる2日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、およびロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ東部の防衛線突破ねらいロシア軍が攻撃

ウクライナ軍は、ロシア軍が東部の防衛線を突破しようと攻撃を仕掛けてきたことを2日、明らかにしました。

ウクライナ側は撃退したとしていますが、東部で攻勢を強めるロシア軍に対し、ウクライナ側は弾薬不足などを背景に守りにまわっているとみられます。

ウクライナ軍は、東部ドネツク州リマンやアウディーイウカなどの周辺でロシア軍から合わせて37回の攻撃を受けたものの、いずれも撃退したと2日、発表しました。

リマン周辺ではロシア軍は空からの支援を受けながらウクライナの防衛線を突破しようとしたとしています。

ロシア軍はことし2月に、東部の拠点、アウディーイウカを掌握し、その後も東部で攻勢をかけているのに対し、ウクライナ軍は弾薬不足などを背景に守りにまわっているとみられます。

ロシア軍によるエネルギー施設への攻撃 懸念深まる

また、ロシア軍は先月下旬以降、ウクライナの発電所などエネルギー施設を狙った攻撃も繰り返していて、ウクライナ空軍などによりますと、2日にはミサイル1発と無人機10機による攻撃がありました。

このうち無人機9機は撃墜したものの、中部キロボフラード州にある高圧変電所が被害を受けたということで、住民の暮らしへの影響も大きいエネルギー施設への攻撃に懸念が深まっています。

ウクライナ軍 将校 “砲弾や弾薬 圧倒的に足りない”

ウクライナ東部の前線でロシア軍と戦闘を続けるアゾフ旅団の将校がNHKの取材に応じ、ウクライナ側は砲弾や弾薬の数が圧倒的に足りないとしたうえで、ロシア側が大規模な攻撃を仕掛けるとみられる夏の初めまでに軍事支援が前線の部隊に届く必要があると強調しました。

ドネツク州の前線にいるウクライナ内務省傘下のアゾフ旅団の将校、イリア・サモイレンコ氏は、NHKのオンラインインタビューに答え、砲弾の数などの戦力について「ウクライナとロシアの比率は1対6だ。ときには1対10、もっと差が大きい時もある」と述べ、ロシア軍に比べて砲弾や弾薬が圧倒的に足りないと説明しました。

そのうえで、「21世紀のいまも数が重要だ。十分な量の砲弾がなければ戦場で優位に立てない。砲弾の不足は兵士の死につながる」と強調しました。

砲弾などが足りない要因についてサモイレンコ氏は「敵の生産ラインはウクライナを支援する西側の国々を合わせたよりも強力だ」とし、加えて、最大の支援国アメリカで秋の大統領選挙をにらんだ政治のかけひきが続き、影響を受けていると指摘しました。

また、現地の状況についてサモイレンコ氏は「春になって暖かくなり、葉が生い茂ってきた。両軍ともスナイパーや熱探知のスコープ、ドローンを使っている」と述べ、互いに動きを探り合い攻防が続いていると説明しました。

ゼレンスキー大統領 “夏の初めまでに前線部隊に軍事支援を”

そして、ゼレンスキー大統領が、ロシア軍は5月末か6月にも大規模な攻撃を仕掛けるという見通しを示したことに触れ「この時期までに、われわれは備えなければならない」と述べ、夏の初めまでに砲弾などの軍事支援が前線の部隊に届く必要があると強調しました。

ロシア 極超音速ミサイルなど 6種類のミサイルで攻撃か

キーウの当局者は1日、SNSを通じて、ロシア軍がことしに入り3か月間でキーウに対して180以上のミサイルや無人機で攻撃を仕掛けてきたと明らかにしました。

この中で音速の9倍にあたるマッハ9の速度で飛行するとされる海上発射型の極超音速ミサイルの「ツィルコン」5発など、6種類のミサイルで攻撃されたとした上で「防空システムが強化されればより多くの人命が救われる」として、国際社会に支援を訴えています。

一方、ロシア国防省は1日、ロシア軍がウクライナ東部ドネツク州のアウディーイウカ方面で攻撃を続け、優位な陣地を獲得していると発表しました。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は3月31日、ロシア軍がアウディーイウカ近郊への攻撃を優先しているとの見方を示したうえで、ことし春から夏にかけてドネツク州西部に攻撃を集中させる可能性があると分析しています。

一方で「ロシア軍は人員が限られていることなどから、大規模な攻撃は1度に1つの方面でしか行えない可能性が高い」として、同時に複数の方面への攻撃は難しいとの見方も示しています。