台湾 馬英九 前総統が訪中 習近平国家主席と会うか注目

台湾の馬英九 前総統が4月1日から中国を訪問し、首都の北京にも滞在する予定で、習近平国家主席と会うかどうか注目されます。

馬英九 前総統の中国訪問は今月11日までの予定で、広東省に2泊、陝西省に4泊したあと、今月7日に首都の北京に入ります。

馬前総統は台湾の空港を出発する前に談話を読み上げ「台湾海峡両岸が緊張しているなか、平和を愛し、両岸の交流と戦争の回避を望む台湾の人たちの真情を伝えたい」と訪中の目的を説明しました。

国民党に所属する馬前総統は「台湾と中国大陸はともに1つの中国に属する」という立場で、在任中の2015年に習近平国家主席と史上初めての中台首脳会談をシンガポールで行いました。

また、去年春には総統経験者として初めて中国を訪問し、2年連続となる今回の訪中では習主席と会うという観測も出ています。

台湾の民進党政権は「1つの中国」を受け入れず、中国はこれを理由に当局間の対話を拒否していて、馬前総統には習主席との再会を果たすことで「大陸のトップとじかに話ができる実力者」と印象づけ、影響力を強めようという思惑もあるとみられます。

実際に両者が会えば、習主席にとっては、ことし1月の台湾総統選挙で民進党政権の継続が決まってから初めての台湾要人との顔合わせとなり、来月の頼清徳次期総統の就任を前に今後の台湾に対する姿勢を内外に示す場として注目されます。

馬前総統 中国の台湾政策担当トップと会談

台湾の馬英九前総統は1日午後、最初の訪問先の中国南部・広東省深※センに到着しました。

馬前総統は、深※センに本社を置くドローン最大手の「DJI」などを視察したあと、中国政府で台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室のトップの宋涛主任と会談しました。

この中で宋主任は「われわれは、両岸関係の平和と発展に対する馬英九氏の努力と貢献を高く評価する」と述べたほか、中国国営メディアは、習近平国家主席からの心からのあいさつを伝えたと報じています。

一方、馬前総統は、みずからが総統を務めた2016年までの8年間について「この間、台湾海峡の両岸で戦争が起きることを世界の誰も考えなかった。これは『92年コンセンサス』の効用を最もよく表している」と述べ、中台間で「中国大陸と台湾が1つの中国に属することを確認した」とされる「92年コンセンサス」の意義を強調しました。

そのうえで「両岸関係の平和と発展を維持することは、台湾社会の主流の考えであり、今回の選挙結果もそれを証明している」と述べ、ことし1月の台湾総統選挙で中国の圧力に対抗する民進党の頼清徳氏が当選したものの、得票率が40%にとどまったことなどを踏まえ、良好な中台関係を望む声が多数派だという認識を伝えました。

※「セン」は「土」へんに「川」