小林製薬 電話相談の受付時間を延長 土日祝日も対応

「小林製薬」の「紅麹」の成分を含む健康食品を摂取した人が腎臓の病気などを発症した問題で、会社は、体調不良を訴える人の電話相談の受付時間を午後9時までに延長し、土日や祝日も対応することになりました。

小林製薬の「紅麹」の成分が含まれた健康食品をめぐっては、摂取したあとに腎臓の病気を発症するなどして、3月29日までに、5人が死亡、のべ114人が入院したことがわかっています。

小林製薬では、製品を摂取し体調に不安を感じる人の健康相談に電話で応じる窓口を3月22日に設けていて、これまでに1万5000件を超える相談などが寄せられているということです。

会社側はさらに対応を強化するため、午前9時から午後5時までだった電話相談の受付時間を、午後9時までに延長したということです。

また、土日や祝日も同じ時間帯で相談に応じるということです。

この対応は4月末まで続ける予定だということで、小林製薬は「少しでも不安に感じることがあれば、相談してほしい」と話しています。

一連の問題をめぐって、会社は、去年4月から10月にかけて製造した紅麹原料から、青カビから発生することがある「プベルル酸」とみられる物質が確認されたとしていて、厚生労働省などが工場の立ち入りを行うなど、調査が進められています。

「プベルル酸」とは

プベルル酸は一部の青カビが作り出す天然の化合物ですが、これまで研究などでもあまり活用されることがなかった物質だということです。

プベルル酸について2011年ごろから論文を発表している北里大学によりますと、マラリアの治療薬を探すためカビが作り出すさまざまな物質を調べていた際にプベルル酸にマラリアに対する強い効果があることを見つけ出したということです。

この際に行われたヒトの培養細胞にプベルル酸を投与する実験では、ヒトの細胞に対しては弱い毒性が認められたということです。

同じ北里大学のグループが2017年に発表した論文では、マウス5匹に体重1キロあたり5ミリグラムを2回、注射したところ、投与から3日目までに4匹が死亡したとしています。

ただ、長期間、摂取した場合の毒性や腎臓に対する影響などについては調べられていないということで、大学では「人体への影響についてはエビデンスを持ち合わせていない」としています。

また、天然の化合物ではあるものの人工的に合成するには特殊な設備や高度な技術が必要だということです。

小林製薬 入社式を中止 新入社員全員に社長が説明

小林製薬には、グループ会社を含めて81人が新たに入社しましたが、問題の対応を優先するとして、入社式を中止しました。

会社によりますと、4月1日は大阪 中央区にある本社で、81人の新入社員全員を前に、小林章浩社長が一連の問題の対応などについて直接説明したということです。

あわせて、こうした状況の中で入社することに対して感謝を述べたということです。